70歳になったら今までに払い込んできた保険料が全て返ってくるとして人気の『メディカルkit R』ですが、一般的な医療保険に比べて、どのようなデメリットが潜んでいるのでしょうか。

 結論から先に言ってしまうと、『メディカルkit R』最大のデメリットとは、『 70歳までに入院・手術した場合に、70歳で受け取れる健康還付給付金(以下、還付金)が減額されること 』です。

 それは、何故か。このデメリットがあるせいで、70歳までに払い込んだ保険料が70歳で還付されるという最大のメリットが無意味になるからです。

 例えば、現在30歳の男性が70歳までに受け取る入院給付金と手術給付金は、平均して合計37万円です(入院日額5,000円の場合)。この37万円は、『メディカルkit R』加入者にとっては、上記のデメリットがあるため、損な部分です。

 一般的な医療保険であれば、この37万円は純益となり家計にプラスのお金として計算できます。何故なら、37万円を受け取ったことで何らのデメリットも生じないからです。

 しかし、『メディカルkit R』の場合は、70歳までに受け取った37万円は、70歳時の還付金からも37万円が減額されるというデメリットがあるので、プラスマイナス0円という計算になるのです。

 これを踏まえて、30歳男性の2人に1人が亡くなっている82歳時点を想定して、『メディカルkit R』に加入した場合と、保障内容が全く同一で単純に還付金がないだけの『メディカルkit』(60歳払済)に加入して保険料の差額を貯蓄(金利1%)した場合において、どちらにメリットとデメリットがあるか試算してみましょう。

 試算すると、82歳の時点で、『メディカルkit R』加入者は109万円の現金を保持していることとなり、一方で、『メディカルkit』加入者は106万円の現金を保持していることになる、ということが分かります。

 この時点で『メディカルkit R』に大きなメリットがないことは明らかです。70歳の時点で保険料が返ってくることに意味があるのか、目に見える金額を増やしただけではないのか、と懐疑的にならざるを得ません。それでも、3万円分は『メディカルkit R』が有利なことも確かです。

 しかし、この3万円のメリットも吹き飛びます。何故なら、『メディカルkit』は60歳で保険料の払い込みを終えた段階で、死亡時には約5万円の解約返戻金が支払われるからです。(『メディカルkit R』は、還付金受領前なら解約返戻金がある。ただし、入院・手術給付金の分は差し引かれる)

 以上で明らかになったように、『メディカルkit R』最大のメリットである『 70歳での還付金 』は、最大のデメリットである『 70歳までに入院・手術した場合に、還付金が減額されること 』によって無意味と化すので、『メディカルkit R』を積極的に選ぶ理由はないのです。

 ちなみに、82歳以降いつ死んでも『メディカルkit』のほうが有利ですし、81歳以前は契約初期の一時期を除いていつ死んでも『メディカルkit R』のほうが有利です。(ですからネット上で見かけるような、『メディカルkit R』は還付金が貰える70歳までに死んだ場合に不利だ、という批判は間違っているわけですね。)

 また、81歳以前と82歳以降の死亡時の損益の差も大差ありません。例えば、30歳男性の4人に1人が亡くなっている73歳時点で『メディカルkit R』加入者は『メディカルkit』加入者に比べて28万円の黒字です。しかし、30歳男性の4人に3人が亡くなっている89歳時点で『メディカルkit R』加入者は『メディカルkit』加入者に比べて27万円の赤字となります。

 ここまで見てきて、『メディカルkit R』を積極的に選ぶ理由がないことと、それと同時に積極的に選ばない理由もないことが分かりました。しかし、『保険』というものの性格を思い返すと、積極的に選ばない理由は強さを増します。

 これこそが、第二のデメリットであり、詳しくは入院するほど損をする『メディカルkit R』に続きます。


 なお、『70歳までに給付金37万円って本当なの?』、『試算条件がよく分からない』という場合は、『メディカルkit R』のデメリット試算方法をご覧ください。

 それと、『メディカルkit R』は、還付金の有無に関わらず、そもそも入院保障が60日というデメリットを抱えている時点で、個人的にはダメな保険だと捉えています。


【記事の中身がよく分からなかった方へ】

 分かりやすいように具体事例を挙げて、『メディカルkit Rのデメリットを分かりやすく説明してみる』で説明しておりますので、ぜひそちらをご覧下さい。
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コメント
この記事へのコメント
先進医療特約
ただいま保険の勉強中で、こちらのサイトを参考にさせて頂いております。
我が家は共働きで、夫婦二人暮らしです。医療保険は必要ないと判断していましたが、メディカルキットRの先進医療特約だけを利用するつもりで加入するのはどうかと思っています。先進医療特約利用分の金額は、還付金から差し引かれません。先進医療だけの保険は今後も出てこないでしょうし、仮に入院しても入院給付金等は請求せず、払った保険料の満額もらうことにすればいいのかなと思いましたが、どう思われるでしょうか?ちなみに特約部分は更新ありです。
2013/07/25(Thu) 00:44 | URL  | おくさま #-[ 編集]
Re: 先進医療特約
おくさま様、コメントありがとうございます。

先進医療保障目的のメディカルキットRの加入は、悪くはないと思います(良いというわけでもありません)。

しかし、おくさま様のお考えに沿えば、えすあい様のコメントにもありますが、終身生命保険と終身医療保険が合体したキュアエスやリリーフダブルも選択肢になるでしょう。

キュアエスなら死亡すると、元が取れるどころか、プラスが出ます。

そして、メディカルキットRよりもキュアエスのほうが良さそうです。ただし、キュアエスは保険料が倍ぐらいします(終身生命保険にも加入したと考えれば、かなり安上がりではあります。)

メディカルキットRだと還付を受けた70歳以降の保険料は戻ってこない部分ですが、キュアエスならそれがありません。

70歳時点で仮に先進医療制度がなくなっていれば、メディカルキットRの還付金は自由に使えるので、そこはメディカルキットRのメリットです。

ただ、70歳で同額の保険料が返ってくることに変わりないので利息分は確実に損する部分です。

キュアエスのほうは解約返戻率が低いので、先進医療制度の有無に関わらず契約を続けるしかありません。

以上のように個人的には、キュアエスのほうが良い気がする次第です。先進医療目的の医療保険に加入にあまり肯定的ではないため、おススメするわけではあしませんが、メディカルキットRよりは良いように思います。


それと、メディカルキットRに加入にして入院給付金等を申請しないという考えは、なるほどと思いました。

確かに、給付金申請の都度、保険会社提出用の書類作成代金として数千円を病院に払う必要があることを踏まえると、申請しないほうが得かもしれませんね。

70歳までに還付金以上の入院給付金等を受け取る可能性も0ではないこと、給付金から生まれる利息も発生しないことといったリスクもありますが、給付金申請しないほうがお得そうですね。
2013/07/25(Thu) 09:58 | URL  | 管理人⇒おくさま様 #-[ 編集]
ありがとうございます
お返事ありがとうございます。
やっぱり考えてみると、70歳まで利息なしで貯め続けるのはもったいない気がしてきました。。インフレがすすむと思っているので、わざわざそこまで払うメリットがすくないですね。今後TPPの関係で、多様な医療保険が解禁になるかもしれないので、様子をみようと思います。
余談ですが、私の主人はアメリカ人なので、生命保険に関しては、日本の収入保障保険と、アメリカ帰省した際にアメリカでドル建ての保険に加入しようと計画中です。まだ調べ始めたばかりですので、面白い情報がありましたら、ご報告させて頂きます。
2013/07/25(Thu) 20:56 | URL  | おくさま #-[ 編集]
Re: ありがとうございます
おくさま様、再度のコメントありがとうございます。

私もインフレは進むと思いますので、メディカルキットRに加入しないことに大賛成です。

アメリカの保険も選択肢に入れられるなんて羨ましい限りです。特殊な保険も多そうですね。

TPPによって革新的な保険が多く開発されることを私も望みます。またのコメントお待ちしております!!
2013/07/26(Fri) 20:51 | URL  | 管理人⇒おくさま様 #-[ 編集]
金利と先進医療
この保険を検討しているものです。

よくわかるお話でしたが、一番違和感があったのは「保険料の差額を貯蓄(金利1%)」のところです。
もし確実なら、全額貯蓄が有利かもしれません。

また、100万ほどの遊んでいるお金を利用するという仮定なら、定期貯金0.3%以下で考えたほうがよいと思います。その場合、どちらが有利になるでしょうか・・

そう考えると、この保険の場合、売りは、先進医療特約だけのような気もします。その際、保険請求は一切しないというのは、妙案で納得しました。

ただ、実際に先進医療を受ける機会はあるんでしょうか?白内障云々とうのがパンフには載っていましたが、可能性があるのはそのくらいでしょうか(それも70歳以上?)
2014/03/27(Thu) 03:23 | URL  | yo #GCA3nAmE[ 編集]
Re: 金利と先進医療
管理人です。

yo様、コメントありがとうございます。

> 保険請求は一切しないというのは、妙案で納得しました。

この案は、どこにメリットがあるのでしょうか。

70歳で貰う10万円よりも、今日もらう10万円のほうが利息が付く分価値が高いのですから、請求しない理由がよく分からないでいます。

また、還付金以上の給付金を受け取れるという最も得する可能性を自ら放棄していることになってしまいませんか?

> ただ、実際に先進医療を受ける機会はあるんでしょうか?白内障云々とうのがパンフには載っていましたが、可能性があるのはそのくらいでしょうか(それも70歳以上?)

先進医療自体は、平成23年のデータですが、白内障の手術で利用する場合が最も多かったです。年間3,000件、平均費用50万円ぐらいだったと記憶しております。

ただ、やはり問題は重粒子線、陽子線治療で、年間500件ほど、平均費用300万円程度だったと思いますが、これを月々100円ほどで保障できる点が先進医療の必要性を高めていると思います。

また、先進医療は、そもそも病気になる確率が高齢者のほうが多く、また多くはがん目的のものなので、先進医療利用者は高齢者が当然多いものと推察されます。

医療保険の加入自体は勧めませんが、先進医療保障の必要性は高めだと思います。
2014/04/01(Tue) 01:22 | URL  | 管理人⇒yo様 #-[ 編集]
>一般的な医療保険であれば、この37万円は純益となり家計にプラスのお金として計算できます。

とありますが、それまでに保険料を払っているので純益では無いのでは?
仮に、70歳までに保険料を100万払ったとします。一般的な医療保険で37万円給付されたとします。
実質保険料63万円。
KitRで100万払いました。37万円減額されて戻ってきます。実質37万円じゃないんですか?
2014/11/14(Fri) 10:54 | URL  | たけぞう #RSx9Hk0E[ 編集]
Re: タイトルなし
管理人です。

たけぞう様、コメントありがとうございます。

> 仮に、70歳までに保険料を100万払ったとします。一般的な医療保険で37万円給付されたとします。 実質保険料63万円。
 私と捉え方に差異があるだけで、そのお考えで結構です。私は、37万円を貰っても貰わなくても、結局100万円払うのであるから37万円を純益と述べているだけです。

> KitRで100万払いました。37万円減額されて戻ってきます。実質37万円じゃないんですか?
KitRの場合は、37万円貰っても、37万円減額されて帰ってくるので、実質保険料としては0円ではないのでしょうか。

なお、こちらの記事も参考になるかと思います。『メディカルkit Rのデメリットを分かりやすく説明してみる』http://hokenno3704.blog60.fc2.com/blog-entry-123.html
2014/11/14(Fri) 20:55 | URL  | 管理人⇒たけぞう様 #-[ 編集]
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