医療保険の検討に当たって、保険会社から『 平均入院日数が「 35.6日 」だから、1回の入院で60日も保障すれば大丈夫 』という話はよく耳にします。この話を聞いて、「 へぇー、入院患者の多くが35日ぐらいも入院するのか 」と思ったあなたは大きな勘違いをしています

 実際は、入院患者の半数は8日以内に退院し、8割は24日以内に退院します。35.6日も入院する患者は少ないのです。すなわち、多くの人が妄信している『 平均入院日数が「 35.6日 」だから、つまり大多数の患者は35.6日前後で退院するから、1回の入院で60日も保障すれば大丈夫 』という医療保険の選び方・考え方は破綻しているのです。大多数の入院に備えるのであれば30日型で十分です。年単位の長期入院を余儀なくされている少数の患者によって大きくされた「 平均 」を捉えて医療保険を考えることは無意味です。

 60日型への加入を考えるのであれば、『入院患者の「 91% 」は60日以内に退院するから、60日型で大丈夫だろうか 』と捉える必要があります。それにも関わらず、保険会社は60日型を勧める根拠には全く使えない「 平均入院日数 」を提示して60日型の契約を迫ります。

 なぜ、保険会社は、「 平均入院日数 」をあたかも60日型を選ぶべき根拠のように出すのでしょうか。私が考えるに、単純に60日型が儲かるからだと思います。91%の患者が60日以内に退院すると言っても、転院する患者や一時的に退院する患者もいます。退院患者の4.6%は「転院してきた患者」であり、5.4%は「転院していった患者」です。また、入院患者の9.7%は「前回の退院から31日以上経っていない再入院患者」です。

 これら転院や一時的に退院している患者は、統計上は退院扱いなので、入院日数は別勘定となるため、平均入院日数にも表れません。しかし、医療保険は転院や退院後180日以内の入院は通算勘定です。これなら、長期入院患者はもちろんのこと、転院や入退院を繰り返してしまうような重篤な患者に対してまで「 60日 」の壁で保険金の支払いを拒否することができます。保険金支払いは拒否するものの、保険料は毎月振り込まれる、もうウハウハです。

 また、今後高齢者が増えるので介護の代替としての社会的入院が増えかねないことから、「 60日 」の壁を設けておくことが有用だとも考えているのかもしれません。

 以上のような理由で、保険会社は「 平均入院日数 」を前面に出していると考えられます。正直に『 入院患者の「 91% 」は60日以内に退院 』とでも言おうものなら、『 「 9% 」のほうに入ってしまった場合はどうなの? むしろ61日以上の入院のほうが家計的に厳しいでしょ? 』と言ったもっともな指摘を受けて、60日型への加入者が減少しかねませんからね。

 ちなみに、全体の91%を占める60日以内の入院患者の平均入院日数は「 12.1日 」です。一方、全体の平均入院日数は「 35.6日 」でした。「 12.1日 」と「 35.6日 」、この差を見るだけでも長期入院患者がどれほど平均を大きくしているのか明らかです。60日以内の入院のみならず、長期入院時にはどう対応するのかも考えておいたほうが良いでしょう。


※平均入院日数、各種パーセントは、厚労省の「患者調査 平成20年」から算出
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