一般的にガン保険で重要と言われる診断給付金ですが、受取回数について、「保障期間を通じて1回限り」や「2年以上経過で複数回支払う」などがあります。

 さて、ガン保険加入に当たって「複数回」が良いとは聞きますが、「1回限り」のほうが保険料が安いのも事実です。「複数回」と「1回限り」のどちらを選ぶかは、「複数回」受け取れる確率を知って初めて判断できるものです。しかし、複数回受け取れる確率を明示する保険会社や統計資料は見当たりません。

 そこで、確率に基づいて設計がなされる保険商品を細かに見て、その確率を解明したいと思います。つまり、診断給付金の支払回数以外の部分が同一保障の商品の保険料を比べるのです。比較表は次のとおりです。

shindankyuuhukin

 50歳男性を例に説明します。まず、「複数回」の保険料で、「1回限り」の保険に加入した場合の診断給付金を求めて、保険料を同額に、つまり、保険会社が負うリスクを同一にします。

 「1回限り」に「複数回」の保険料で加入した場合、給付金は、「50万円+50万円×514円/1,278円=70万円」となります。よって、50歳男性が100人居た場合、生涯で55人(生涯罹患率)が70万円を受取ることになるため、保険会社は「70万×55人=3,850万円」の給付金を支払うことになります。

 一方、「複数回」の場合、保険会社が支払う初回給付金額は「50万円×55人=2,750万円」ですので、その差額「3,850万円-2,750万円=1,100万円」が2回目以降の給付金として支払われる計算になります。1回当たりの給付金額は50万円ですので、複数回支払われる回数は「1,100万円÷50万円=22回」となります。

 「複数回」における初回給付金受取人の55人に対して、給付金が22回支払われることになります。しかし、55人中の22人に支払われるわけではなく、一人で3、4回受け取る人を考慮する必要があります。

 この点については、一般的に再発・転移が生じると死が近いと言われており、2年経過が条件の給付金を3回や4回も受け取る人は少ないと見込めます。そこで、2回目受取人の15%が3回目を受け取ることにし、4回目以降は誰も受け取らないとして試算します。

 すると、55人のうち19人が追加給付金を受け、その19人のうち3人が更にもう一度追加給付金を受け取ることになります。

 以上を総まとめすると、50歳男性が診断給付金の支払回数を巡って判断する基準は、「55%確率で1回目を受け取り、更に35%の確率で2回目を受け取り、更に15%の確率で3回目を受け取る」ことと、「55%の確率で多少高額な給付金を1回限り受け取る」ことのどちらに魅力を感じるかでしょう。個人的には、やはり、「保険」の意義を重視し、治療が困難になる再発・転移に対応できる「複数回」が良いと考えます。

 なお、今回の「複数回」の試算は「前回受取から2年経過後に、診断確定された悪性新生物の治療入院を開始したとき」を条件にしています。保険会社によっては、入院は不要で診断確定のみで可(ひまわり生命)や、2年以内に新たなガンと診断確定されても2年経過時に治療していれば可(あんしん生命、ひまわり生命)、初回のガン治療を2年間継続していても可(オリックス生命)もありますので、その場合の複数回受取確率は、多少増加するでしょう。

 また、「最新がん統計」の「現在年齢別がん罹患リスク」のとおり、30歳男性が60歳までに罹患する確率は7%と低く60歳以降の罹患率が高いことが分かります。それを踏まえ、30歳男性と60歳男性が複数回受け取る確率を比較すると、明らかに30歳男性のほうが高過ぎることに気付きます。これは、恐らく、30歳男性の罹患率が高まる30年後には医療水準も上昇し、再発・転移を繰り返しても長期間生存する可能性、特効薬の開発で原発ガンを生涯で数回発症する人が増える可能性等の保険会社側のリスクを織り込んだものと思われます。
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