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 楽天生命の「スーパー医療保険 戻るんです」について、ぽんきち様より御意見を求められましたので、考察します。

 「戻るんです」は、あんしん生命の「メディカルKit R」と同様の仕組みの医療保険です。つまり、終身保障・終身払いで、保険料は割高なものの、60歳になったときに今まで払い込んだ保険料が戻ってくる保険です。ただし、この還付金を受け取る前に入院や手術を受けた場合は、保障を受けた額と同じだけ還付金が減額されます。

 結論としては、「メディカルKitRの損得まとめ」で述べたとおり、「掛け捨て型を選ぼうが、還付金型を選ぼうが、大差はない。ただ、還付金型は病弱な者に対して圧倒的不遇を強いてくる。」ということに加え、長寿化社会に逆行するナンセンスな仕組みであって、加入余地に乏しいということです。


◆ぽんきち様のコメント

 楽天生命から、使わなかった分の保険料が戻る医療保険「スーパー医療保険戻るんです」なるのが発売されているようです。こういったタイプの保険、どう思われますか?単純に管理人様のご意見を聞いてみたいなとおもいまして。

 保険内容、保険料はそれなりに高いのですが、掛け捨てがもったいない、と思っている人は沢山いるでしょうし。
最大の特徴は、健康還付給付金として掛け金を全額回収した後でも、加入時の保険料で保障が一生続く、というところでしょうか。高齢になってからの加入は保険料が高いですし、いろいろ調べたり決断、契約する気力も落ちているかもしれないので、回収後の保障を求める方には良いのかもしれません。

 株式とかちょっと敷居の高い人にとっては、貯金と思って回収後に解約すれば、その金額でいざという時の備えにもなりそうですし。


◆加入例

被保険者:30歳男性
保障期間・支払期間:終身
保険料:6,960円/月
入院給付金:1万円/日
入院保障日数:60日(一部120日・無制限)
手術等給付金:5〜20万円/回
健康還付給付金:60歳時に約250万円受取

 楽天生命の還付金のないプランと比較すると、支払保険料は2倍程度になります。

 もしも、「保険料がいくら高かろうが、どうせ戻ってくるのだからどうでもいい。」などと思うのであれば、今一度よく考えてください。


◆デメリット1:病弱な者には鉄槌を。

 「戻るんです」最大のメリットと称される健康還付金ですが、その名のとおり加入後も健康な者にとっては喜びなのですが、病弱な者には少額還付金で圧倒的責め苦となります。

 ここで、正義感と合理性あふれる我々は気付かねばなりません。「何かがおかしい。保険とは、不運にも病弱になってしまった場合のセーフティーネットではないのか。健康者が得をし、病弱者が損する仕組みは妥当なのか。」

 では、「戻るんです」のカラクリを踏まえ、健康な場合と病弱な場合の人生を見てみましょう。


◆ボロ儲けの健康者

 「戻るんです」に加入した健康者は、60歳で還付金250万円を受け取って、80歳で死ぬまでに保険料170万円を支払います。(なお、30歳男性の半数は84歳までは生きます。)

 つまり、「戻るんです」の生涯支払保険料は170万円です。一方、還付金のない掛け捨て型に加入していたら、月額保険料が半額とはいえ生涯支払保険料は210万円に上ります。差し引き40万円の儲けを胸に、御満悦な御臨終となるでしょう。

 また、「戻るんです」加入後に革新的な保険を発見してしまった場合も心配御無用。「戻るんです」には還付金があるので、乗換えが容易で、柔軟性に富む素晴らしい保険人生を歩めること間違いありません。


◆「保険」に入っているのに苦しむ病弱者

 「戻るんです」に加入した後に病弱になった不運な方は、60歳になるまでに入院、手術を繰り返したために、還付金は雀の涙で我慢してください。もちろん、貰った入院給付金は治療費や減収補填に消えるので、これでは貯蓄していたのと一切変わらなかったという激しい後悔の念が押し寄せるでしょう。

 保険の乗換えもさせません。病弱者の乗換えは、更に割高な引受緩和型しか道がありません。病弱だから医療保険は持っていたいでしょう。減収の影響で生涯賃金も年金も少なくなり大変苦しい懐事情は察しますが、このまま死ぬまで掛け捨て型より割高な「戻るんです」に加入いただきます。

 もしも、還付金のない掛け捨て型に加入していれば、生涯支払保険料は210万円で済みながら、一方で250万円近い入院等給付金が貰えました。還付金が雀の涙となった病弱者は、多額の損失を抱えたまま悔しい御臨終となります。

 このように、健康者が得をし、病弱者が損する仕組みこそが「戻るんです」の真骨頂であり、メリットであると同時に大きなデメリットなのです。

 健康者となるか病弱者となるかは誰にも分かりません。病弱時のデメリットを超えるほどのメリットがこの保険にあるとは思いません。当然、60歳までの貯金代わりなどの安易な利用も勧められません。


◆デメリット2:長寿は許さない。

 「戻るんです」は、長生きすればするほどに、加入者の首をゆっくと、しかし確実に絞め上げてきます。

 「戻るんです」は掛け捨て型の2倍もの保険料がかかるので、「戻るんです」で最も恩恵を受ける健康者であっても90歳まで生きた段階で支払保険料総額が「戻るんです」と掛け捨て型で並びます。

 毎年4万円の損失を重ねていきますので、仮に100歳まで生きた場合、「戻るんです」の支払保険料総額は334万円、掛け捨て型は292万円となり、「戻るんです」加入おじいちゃんは実に40万円超もの損失を受けていることになります。

 このように、長生きすればするほどに「戻るんです」の優位性は消えていき、最終的には損失となって飼い主に襲いかかってくるのです。

 今のところは、30歳男性のうち27%が90歳を迎え、2%が100歳を迎えます。しかし、私たちが本当の高齢者になる頃には医療も進歩していますので、半数超が90歳を迎えても不思議ではありません。

 どうか年金保険で長生きリスクを低下させておきながら、「戻るんです」で長生きリスクを増大させるような意味不明な設計だけはしないでください。


◆あとがき

 以上で「戻るんです」の考察を終えますが、いかがでしたでしょうか。

 文章を書くのはいつも長丁場になってしまい疲れますね。読み直しの微修正が多くて、これが生産性を著しく下げています。今回も、結局は焼き直し記事なのに5時間もかかりました。

 最近は持ち株も振るいませんし、GoToも感染者増加で利用しづらく、なんだかなぁという日々です。もうすぐ2021年を迎え、改めてNISAが買えますし、改めてふるさと納税も出来るので、また苦悩しそうです。



参考資料:令和元年簡易生命表(厚労省)
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コメント
この記事へのコメント
考察ありがとうございます
管理人様

早速考察頂き、ありがとうございます。
ご負担をかけてしまったようで、申し訳ありません。。。

メディカルKitRと同様のカラクリだったのですね。
すいません、私自身が持病があるため医療保険の組み換えが出来ず、あまり真剣に拝見しておりませんでした。戻るんです、のカラクリが解けました!

支えになるべき人達には、酷い仕組みですね。どこかの政治家みたいに、金儲けの事しか考えていない人が考えたんでしょうね。

NISAとふるさと納税、来年は何を買おうか、楽しみです。
ちょっと前までロールーオーバーする、しないで悩んでましたが ww

株式関係の記事、気が向いた時にでも。楽しみに拝見させて頂いております。


管理人様も、お身体を大事になさってください。
ありがとうございました。
2020/12/21(Mon) 20:45 | URL  | ぽんきち #yl2HcnkM[ 編集]
Re: 考察ありがとうございます
管理人です。

ぽんきち様、早速御覧くださりありがとうございます。久々に記事を書けましたし、全く負担ではありませんでしたので、大丈夫であります!

持病があると医療保険のハードルがグッと上がってしまいますものね。「戻るんです」が乗り換えたくなるような素晴らしい保険ではなくて良かったです。(良かった…のか…?)

ロールオーバーに悩まれるとは長期投資家の鑑ですね。私は再来年に初ロールオーバー出来るか、といった感じです。

株式関連記事も頑張ってまいりたいと思います!
今後ともよろしくお願い申し上げます。
2020/12/22(Tue) 08:07 | URL  | 管理人⇒ぽんきち様 #-[ 編集]
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