個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)が2016年1月から大幅に制度改善・拡充されて開始します。サラリーマン世帯の対象拡充もさることながら、新たに私のような公務員や主婦も対象に加わるということで、イデコの検討は不可避です。

 なお、イデコを簡単に説明しますと、「掛け金は所得控除で、利子収入も非課税で、年金受取時も税制優遇されて、元本確保型もあるけれど、60歳まで現金化できない自分専用年金」です。


◆結論!!サラリーマンは加入せよ!!

 はじめに結論を述べておきます。

 まず、一般的なサラリーマンや公務員は加入すべきでしょう。何故なら、今までどおりの預貯金や株式運用に励むよりも有利だからです。

 一方、加入する必要性が大変低いのは専業やパートの主婦・主夫です。何故なら、これらの方は所得税と住民税率がゼロ近辺なため、イデコ最大の確定メリット「掛け金の所得控除」という恩恵を受けられないからです。

 なお、主婦・主夫であっても、年金受取時の退職所得控除でのメリットは受けられるので、運用で成功した場合にお得ではあります。しかし、NISAのほうがお得なのでイデコを使うのはNISA枠を埋めてからのお話です。


◆【試算】預貯金するならイデコを使うべし!!

 さて、イデコがどれほどお得か、30歳でイデコに入った場合を例にして考えてみましょう。

契約者:30歳
契約期間:59歳まで
年金受取方法:60歳の退職時一括受取
掛け金:12,000円/月。総額432万円。
管理手数料:167円/月(SBI証券を念頭)
運用手数料(=信託報酬):0%
運用利回り:0%
税率(30-39歳):20%(所得税10%+住民税10%)
税率(40-59歳):30%(所得税20%+住民税10%)
無視したもの①:1回限りの無視できる支出(確定拠出型年金加入費、解約手数料(=信託財産留保額)、年金給付時の金融機関手数料)
無視したもの②:イデコ導入後凍結されている税制(特別法人税)、必要な場合もあるが概ね必要ないもの(投信の買付手数料)

 まず、確定拠出型年金に加入せずに堅実に積み立てた場合の【普通の預貯金】グラフを見てみます。432万円貯まります。

イデコグラフ1

 次に、利回り0%で元本確保型の確定拠出型年金に加入した場合の【±0%イデコ】グラフを見てみます。477万円貯まります。

イデコグラフ2

 【±0%イデコ】では毎月の掛け金が非課税所得になるので【普通の預貯金】よりも45万円も多くお金が受け取れます。

 60歳で一気に目減りしているのは、一括受取時に受取額の半額について30%の税金(所得税20%+住民税10%)がかかるためです。なお、退職金の多少で税率も上下します。

 既にお得なイデコですが、ここから更に利子収入が上積みされることはもちろん、年金受取方法を一括受取ではなく毎年受取にして税控除枠を分ければもう少しお得にできます。計算と説明が面倒になるので試算しませんけれども。

 さて、45万円の儲けということは30年間で10%の収益です。年間0.63%複利で運用したことになります。この超低金利時代に悪くない成績です。

 さぁ、この時点で一つの結論が出せます。

 預貯金するならイデコを使うべし!!


◆節税メリットはデメリットを上回る!!

 これでイデコのメリットは分かりました。しかし、デメリットが巨大かもしれませんので、見てみましょう。

 イデコのデメリットで大粒なものとしては2点、「原則60歳まで現金化できないこと」「特別法人税の凍結解除」です。

 現金化できないのは困りものです。60歳までにお金が必要になった場合に困ります。自分が所定の障害状態になった場合は障害年金として回収できるので良いのですが、配偶者や子供に障害が発生したら。。。困りものですね。

 しかし、このデメリットはあらかじめ毎月の掛け金を控え目にしたり、掛け金の支払いを止めればよい話なので、大した問題ではありません。

 問題は、特別法人税です。現在は凍結中ですが、これが復活すると大変危険です。復活すると、数十年に及ぶ拷問の幕開けです。

 もし復活したら、積立金全額に対して毎年1.2%程の額を税金として持って行かれるのです。株式等運用型で必要な信託報酬と合わせたら毎年マイナス2%の資産減少は確定したも同然です。

 60歳まで現金化できずに毎年マイナス2%搾り取られる、もはや身の毛もよだつ悲劇、シェイクスピアですら真っ青です。

 しかし、希望はあります。こんな極悪非道な特別法人税は日本が高金利になるまで凍結されたままだと考えられるからです(願望混じり)。特別法人税についてちょっと考えてみます。

 イデコやその先輩の401k(確定拠出年金)、そして彼らの祖先みたいな企業年金は、基本的に積立金自体が非課税で、積立金から生じる利子や配当金も非課税です。そしてこれらに課税されるのは年金給付開始の60歳からなのです。

 つまり、数十年間にわたって非課税収益から非課税収益が生まれ続けるわけです。これは富豪投資家へ至るゴールデンルートです。さすがに有利過ぎます。

 だから高金利時代の昭和中期に政府は決めました。

 「大きな課税は60歳まで待ってやる。しかし、タダで60歳まで待つわけにはいかない。なぜなら、お前は本来ならば課税されていて得られるハズのない利益を手にしているし、課税を待ってやるんだから利息的なものを払って当然だからだ。従って、積立金の1.2%程を毎年払ってもらう。」

 そんな特別法人税ですが、凍結中です。凍結に次ぐ凍結で401kに課税されたことはありません。多くの人が元本確保型に加入している中、こんな低金利の時代に1.2%も取っていたら誰もイデコや401kに加入しませんものね。

 従って、特別法人税が復活するのは相応の金利環境下だと推察されるので、特別法人税復活リスクを理由にイデコ加入を諦めるべきではないと思います。

 このように、イデコの2大デメリットを踏まえた上で改めて考えてみても、安直に預貯金に励むよりはイデコを使うべきだと考えられるのです。

 しかしながら私は預貯金よりも投資を愛します。元本確保型に興味はありません。イデコで投資信託を買った場合に有利か不利か、これが私の目下重要な検討事項です。そこで、次回記事にて考えてみます。


【参考】
特別法人税について「All About 私の401k資産に「法人税」がかかる?~特別法人税の話」
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