まず、謝罪しなければなりません。申し訳ございませんでした。リンククロス コインズという先進医療と臓器移植を保障する保険について、良質な保険だと評価しましたが格下げします。

 この保険については、前回記事「リンククロス コインズを買うならミニロト買うよね?」で途中まで考察しました。

 その結果、国内での臓器移植保障に関しては、費用対効果を考えた場合、リンククロス コインズへの加入よりはミニロトを買ったほうが良いということを書きました。

 そして、国内に限った話をすれば加入余地は著しく乏しく思えるけれど、海外での移植を考えるとこの保険は大変優れた機能を持っていて良質な保険であると言いました。

 ごめんなさい。その後の考察によりリンククロス コインズから貰える1,000万円では海外移植に踏み切れないことに気付いたので、良質との評価を格下げします。及第点といったところです。


◆臓器移植の順番待ちが大勢いる(肝臓編)

 臓器移植を考えるに当たっては移植件数を見るだけでは足りません。何せ需要に供給が追い付いていないのですから。

 リンククロス コインズで保障される臓器移植は2014年に1,750件ほど行われています。そのうち300件ほどの肝臓移植と1,400件ほどの腎臓移植について見てみましょう。

 肝臓移植を受けた人は300人ほど居ますが、この裏では移植を切望し自分の順番が来ることを夢見ながら亡くなってしまった人がいます。その数なんと2,000人。

 そしてこれも驚きなのですが、肝臓移植が必要な人は概ね余命が1年しかありません。1年以内に移植を受けなければ死ぬのです。

 肝臓移植希望者8人当たり、1人だけが助かり、他7人は亡くなります。


◆臓器移植の順番待ちが大勢いる(腎臓編)

 腎臓移植を受けた人は1,400人ほどですが、この裏には移植希望者が1.3万人もいます。移植希望者のうち望みが叶うのは年間1割ほどしかおらず、希望者数は2008年から2014年までの間に0.1万人増加しています。

 しかし、腎臓移植希望者の余命については、肝臓のようには悲観的ではなく、移植せずとも透析治療で生活を送れます。

 ただ、この透析治療については、1回4時間の治療を週3回行うことが標準的であり、慢性腎不全の場合は基本的には一生続けなければならず、生活の質の大幅低下は否めません。

 そして、透析治療を受けている人が32万人も居るということで、もはや他人事ではありません。この点、腎臓移植を受ければ健常者同様の生活が送れるようになので、これは大変魅力的です。

 また、末期腎不全患者の主な死因は透析に伴う合併症だということも見逃せません。透析を続けること自体がリスクです。ただし、腎臓移植を受ければ万事安心でもなく、5年生存率は90%を超えているものの、数%の危険は残ります。


◆海外移植という夢を買う

 もし自分が肝臓を悪くしたなら、1年以内に移植を受けなければ死にます。もし腎臓を悪くしたなら、生活の質が著しく低下するとともに常に死のリスクと隣り合わせです。

 そんなときに、リンククロス コインズから1,000万円貰えたらどうでしょう。「海外移植」という夢を抱けるではないですか。ミニロトで買う夢とは質が違います。

 しかし、海外移植を実行するには2つの壁が立ちはだかります。


◆第1の壁:1,000万円では足りない。

 1,000万円あっても海外移植での手術費用全額をまかなえないのです。

 肝臓移植の場合、米国で6,000万円、中国で2,500万円です。腎臓移植の場合、米国で3,000万円、中国で1,800万円です。

 リンククロス コインズから1,000万円貰えたとしても、海外移植にはなかなか踏み切れません。

 ここで浮かぶ妙案がリビングニーズ特約です。肝疾患であれば余命1年なので死亡保険に通常付帯しているリビングニーズ特約が使えるのではないか、と考えられます。

 しかし、過去に準裁判所的な裁定審査会に持ち込まれた事案において、「臓器移植を受けて助かる道があるならばリビングニーズ特約は利用できない」旨の保険会社の見解が示されており、望みは薄いのです。

 というわけで1,000万円では足りないのですが、海外移植という選択肢を視野に入れることができ、海外での手術代の足しになるという面においては、他の保険では得られない重要な点ではあります。


◆第2の壁:日本人1人が助かれば現地人1人が死ぬ

 臓器の供給不足は日本だけの問題ではありません。世界的に臓器不足なのです。

 従って、例えば肝臓移植希望者は余命1年ですから、そんな日本人1人が中国で肝臓移植を受けたならば、移植順番待ちの中国人1人の命が失われる可能性が大変高いのです。これは心理的にキツいです。

 また、国際会議の場でも臓器移植は自国で完結させるべしとした「イスタンブール宣言」が2008年に採択されています。そのため、海外移植が制限される恐れがあります。


◆リンククロス コインズの改善要望

 リンククロス コインズにどうしても改善願いたい点は1つだけです。海外移植時の給付金を増額して欲しいのです。せめて2,000万円でお願いします。

 しかし、保険料を上げて欲しくはないので、宝くじ状態で必要性の乏しい国内移植給付金は0円で結構です。

 このような改善が施されれば、「リンククロス コインズに入っているか否か」がそのまま「生きるか死ぬか」に直結するので、大変価値の高い保険になると思います。

 また、年齢問わず一律保険料は当然若い人に不公平なので支給実績が増えた段階で見直していただきたいと思います。

 しかしながら、リンククロス コインズの移植保障を海外移植に限ってしまうと、それはそれで第2の壁のとおり国際的な方向性に逆行しますし不謹慎です。

 個人的には、海外での臓器移植保障は供給過多の国で行われる場合に限って行われるべきだと考えるところです。従って、そんな国はないでしょうから、海外移植を保障する保険というものは販売されてはならないと考えます。

 
◆(参考)出典とメモ

【心臓】2014年に国内37件。60歳までの移植が望ましい。待機者は500~1,300人。米国への海外渡航移植が毎年数件あるが、ほとんどが小児。海外移植費用は8千万~2億円。

【肺】2014年に国内61件、原則60歳未満。待機者は244人。

【肝臓】2014年に生体からの国内移植約410件、死体からの国内移植約45件。70歳までが望ましい。概ね初回移植。性別偏りなし。図5によれば総移植件数の概ね2/3が18歳以上。待機者は2千人。移植が必要な者は余命1年程。移植を受けた人の10%は海外で移植を受けた模様。

【膵臓】2014年に国内29件。ほとんど20歳~69歳。5%が10代や70代。男性がやや多め。待機者は199人。

【小腸】2014年に国内2件。待機者は5人。

【腎臓】20歳~69歳は2014年に国内1,386件。男性がやや多め。319,388人が透析治療を受けているが、そのうち移植を希望する待機者は12,725人。海外での移植者が居るには居るが把握できていないそう。


2014年の20~69歳人口8,100万人。移植者概算1750人/2014年。

臓器移植1件/46,285.7人→0.002160493%

ミニロト1等当選1口/169,911口→0.0005885%。ミニロトなら年間24口買えるので、1/7,080の確率で1等1千万円。還元率は45%。1等のみで計算しても30%。


移植者1750人×1千万円=人口8,100万人×純保険料

純保険料=216円。1人年間216円が本当の保険料部分(ただし、健康な人しか加入できないので実際はもっと低い)。しかし年間4,800円取られるので、還元率は4.5%。保険料の大部分が保険会社の収益と経費、念のための積立、海外移植者への支払か。


最も移植件数の多い50代人口が15,445,000人。移植は腎臓で328件なので、全部で400件と概算する。移植1人/38612.5人→0.00258983489%。還元率5.4%。


【参考資料】

「臓器移植ファクトブック2015」

「人口推計(平成26年10月1日現在)(総務省統計局)」

腎臓の透析頻度、慢性腎臓病の治癒可能性について、一般社団法人 全国腎臓病協議会HP「腎臓病について」「腎臓病とは」

海外での臓器移植費用について、特定非営利活動法人 海外医療情報センターHP「海外移植費用比較」

イスタンブール宣言について、デジタル大辞泉「イスタンブール宣言」

リビングニーズ特約と臓器移植の関係について、一般社団法人 生命保険協会[事案19-19]リビング・ニーズ特約保険金請求
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