今回ご紹介するワナは『ハロー効果のワナ』と『権威のワナ』だ。

◆ハロー効果のワナ

 まずは『ハロー効果のワナ』から始めよう。さて、次の人物像を聞いて、どのような特徴を思い浮かべるだろうか。

 『アメリカ人の父と日本人の母を持つハーフの男性』

 この人物像から、『イケメン』、『英語が得意』、『長身』なんてイメージが浮かんだあなたはワナにハマっている。

 彼は、いや、ウエンツ瑛士は、イケメンだが英語は苦手で長身ではない。

 これは『アメリカ人の父』という言葉が、天使の輪っか(=ハロー)の役割を果たし、ハローに注目するばかりに他の要素を正常に評価できなくなったためだ。これを『ハロー効果』という。

 だから、『東大卒』なら社会でも優秀だと思うし、『去勢されている』犬はおとなしいと思うし、『売上1位』の保険は魅力的に映る。


◆権威のワナ

 次に、『権威のワナ』である。このワナは、権威ある者からの指示には、たとえ指示内容が非人道的で不信を抱いたとしても従ってしまうワナである。

 つまりあなたは、権威からの指示さえあれば、私に対して激烈な電撃すら与えてしまう冷酷な一面を秘めているということだ。これは『ミルグラム実験』として知られる。

 また、このワナは重大な問いを私たちに投げかける。戦争犯罪人や組織的犯罪者といえども単に上司の指示に真面目に従っていたに過ぎない普通の人なのではないか、厳罰は妥当なのか、と。だが、ここでは深追いしない。


◆保険の世界での活用例

 さて、『ハロー効果のワナ』と『権威のワナ』は保険の世界でどのように活用されているのだろうか。

 保険販売員の名刺を見ると必ずと言っていいほど登場する肩書がある。それが『FP』、つまりファイナンシャルプランナーだ。

 私たちは『FP』という文字を見た瞬間、『ハロー効果のワナ』にハマる。

 『FPだって? 保険のプロじゃないか。良い担当者に当たったな。』

 しかし、FPの分野は広いので保険に精通しているかは分からない。保険に対して多様な考えを持っているかも分からない。あなたの加入したい保険は専門外かも知れない。

 そして、実際に保険相談が始まると、あなたは『権威のワナ』にハマる。

 『さすがFP。色々知ってるなぁ。医療保険の考え方がよく分からなかったけど、FPが言うならそういうことなんだろうな。』

 しかし、どうしてFPの考え方が正しいと言えるだろうか。FPの説明に死角はないのだろうか。

 このように名刺に『FP』という肩書があるだけで、あなたは保険販売員のことを保険に精通する人格者であると過大評価し、保険販売員の言葉を無条件に受け入れる可能性があるのだ。

 保険を売る側も『FP』の魔力を知ってか知らずか、FPの取得を推進している。『ほけんの窓口』の求人情報には、こう書かれている。

※FP資格をお持ちでない場合、入社3年以内に取得していただきます。


 そんな『FP』の肩書だけでも厄介なのに、『店長』なんて肩書まで登場すれば、もうお手上げだ。おとなしく白旗を揚げよう。

 そうだ。保険販売店さん、良い案を思いつきましたよ。『店長代行』や『店長代理』、『副店長』を量産しましょうよ、そこらの二大政党のように。権威付けでワナにハメましょう。


◆ワナの回避方法

 これらのワナの回避自体は簡単だ。『FP』なんてただの飾りだ、と思えば解決だ。だが、解決したところで得られるものは何もない。

 このワナから学ぶべきことは、自分で考えることの重要性だ。相手の意見を鵜呑みにせずに、常に猜疑心を働かせ、反論の余地はないか、他の選択肢はないか、そもそもその意見は妥当なのか等々を自分の頭で考えるのだ。

 さて、これで記事は終了だ。そして、私は期待している。あなたがこの記事を鵜呑みにしていないことを。



参考書籍:『なぜ、間違えたのか? 誰もがハマる52の思考の落とし穴』(著:ロルフ・ドベリ、訳:中村智子、2013年サンマーク出版)
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