最近の医療保険は、1000種類もの手術を保障するタイプが多くなってきました。昔は88種類の手術を保障するタイプが主流でしたので、1000種類は驚愕です。

 しかし、88種では不十分なのか、1000種も必要なのか、単純に種類数を比較すれば良いのか、といった疑問が湧いてきます。以下、考察しましょう。


◆最近主流の1000種の手術とは

 1000種手術とは、公的医療保険制度で手術料が算定される手術のことを指します。手術料算定対象の手術が1000種程あるということです。

 もっとも、虫歯の抜歯、魚の目の除去などの大きな負担のない手術は対象外となっています。


◆伝統的な88種手術とは

 88種手術とは、数多くある手術のうち、特に保障が必要だと思われる手術を保険会社が分かりやすいように区分けし直したものです。

 ですから、1000種手術の『 種類 』と、88種手術の『 種類 』は別物なのです。

 それと、88種手術が保障する手術は、観血手術と呼ばれる、メスを使用するほどの大きな手術が対象です。

 たまに89種手術の医療保険もありますが、これは骨髄ドナーとして、骨髄細胞を他者に提供する手術がカウントされているだけです。


◆88種 VS 1000種 という単純な話ではない

 既にお分かりのように、公的制度連動の1000種と、保険会社の独自区分による88種を単純に比べることは適切ではありません。

 ここで気になるのが、88種を公的医療保険制度に連動させると何種類かということです。しかし、私は専門家ではないので存じませんし、調べる必要も知る必要もないと考えています。

 手術給付金で重要なことは、多くの手術を保障することではありません。重視すべきは、他の部分です。


◆主要な医療保険の手術保障比較

 ここで、主要な医療保険の手術保障の設計を見てみましょう。入院保障日額が5000円の場合です。


新EVER = アフラック
  1000種手術(入院無):2.5万円
  1000種手術(入院有):5万円
  重大手術:20万円
  備考:重大手術はガン摘出のための開腹手術など88種よりもかなり限定された手術が対象


キュア = オリックス生命
  88種手術:10万円


健康のお守り = ひまわり生命
  1000種手術(入院有):2.5万円
  89種手術:5・10・20万円


 どの医療保険もお互いライバル同士なので、手術給付金に要する保険料は同程度だと想定されます。

 さて、どの医療保険が最も優れていると思いますか?

 私の答えは、健康のお守りです。そして、健康のお守りに1000種手術の保障がなければ、更に優れていると思います。


◆重要なのは大手術に対する保障

 私が健康のお守りを選んだ理由は、大手術に対して一番多くの給付金を支払ってくれるからです。

 新EVERも大手術で20万円払ってくれますが、保障範囲が狭すぎます。例えば、開腹手術の場合、新EVERは悪性新生物(がん)による場合でなければ保障外です。

 しかし、がんによる開腹手術は、開腹手術全体の32%です。残り68%を捨てて新EVERを選ぶ気にはなりません。

 手術保障で重要なのは、大手術に対する保障です。『 日帰り手術も保障!! 』などとアピールする医療保険もありますが、どうして日帰りで済むような軽い、小さな手術に給付金が必要でしょうか。

 安い保険料と日帰り手術保障を両立させるには、開腹手術や開頭手術といった体に甚大な負担がかかる大手術の保障を削るしかありません。

 これは1000種手術保障でも同じです。保険料を抑えながら大小含む1000種もの手術を保障するには、大手術の保障を削るしかないのです。

 手術保障の検討で、1000種か88種かという議論は無意味です。大手術を手厚く保障しているか否かの1点を抑えて検討すべきです。


◆どうして1000種手術保障が登場したのか

 これは、『 入院1日目から保障 』なんて必要ない で書いた理由と同じでしょう。

 つまり、1000種というインパクトのある数字を提示して、旧来型の88種手術保障の契約者の不安を煽って、乗り換えさせるためです。

 この1000種手術保障もまた、保険会社本位で作られた保障と捉えるべきでしょう。


◆ちなみに、手術保障は不要だと思っています

 私は、手術保障は不要だと考えています。

 まず、何度手術を受けようと、高額療養費制度によって支払額には上限があるため、金銭的負担は大した問題ではありません。

 そして、大手術に伴う体の負担は、負担の大きさに伴って入院期間も延びることが想定されるので、入院給付金で十分です。

 よって、手術保障を付加するぐらいなら、入院給付金を1000円でも増加させたほうが良いと考える次第です。……多くの医療保険で手術保障を外せませんが。


参考資料:開腹手術率につき、平成23年患者調査(厚労省)
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コメント
この記事へのコメント
ちょっと違いますね。
88種だとどうしても給付できないケースがあり、給付金額での不満よりも、どうしてでないんだ!!という声が大きい為に社会保険連動型に移行する必要がありました。
以上
2013/11/15(Fri) 09:18 | URL  | 保険設計関係者 #-[ 編集]
Re: タイトルなし
管理人です。

保険設計関係者様、コメントありがとうございます。

なるほど。貰えると思っていたものが貰えないときの不満は大きそうですね。ありがとうございます。
2013/11/25(Mon) 20:14 | URL  | 管理人⇒保険設計関係者様 #-[ 編集]
管理人様へ
物事には表と裏があります。
手術対象が増えるのはいいでしょ~ってのが表向きで、保険種類を増やしました。
しかし保険会社にとって不利な部分の手術給付金を減らしています。不利というのは保険会社は会社で、営利追求するのが目的ですから、手術給付金は利益が減るということになります。ですので、手術給付金は入院日額×倍率という計算になりますが、この倍率を減らしました。
こういったカラクリがあります。
つまり保険料を払ったものに対して、手術で受け取る保険金が減ったので、保険料に対して、保険金の割合が減りましたから、契約者にとって悪くなったということです。
2013/12/15(Sun) 15:02 | URL  | そのまんま #-[ 編集]
ここの保険会社のHPで1000種類の手術と88種類の詳手術が分かりやすく対比できます。
例えば88種類で手術番号2番の「乳房切断術」では1000種類の手術だと8種類が該当します。
つまり88種類といっても内訳は数種類の手術が対象になっています。
2017/04/03(Mon) 17:22 | URL  | ひなたぼっこ #HfMzn2gY[ 編集]
Re: タイトルなし
管理人です。

ひなたぼっこ様、コメントありがとうございます。ご提示のページは素晴らしいですね!!保障対象外のものまで書いてくれる親切設計で、なんとも素晴らしい。1000の手術保障に飛びつく必要がないことがよく分かりますね。ありがとうございます!!
2017/04/03(Mon) 21:41 | URL  | 管理人⇒ひなたぼっこ様 #-[ 編集]
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