私は、過去記事の「こんな超低金利時代に貯蓄型保険に入るのですか?」において、こんな低金利下に貯蓄型保険に加入するなんて間違いである、金利が上向くまで加入は見送ったほうがよいと述べました。

 しかし、疑問もあります。金融情勢に応じて返戻率が変化する保険、つまり利率変動型や変額型などであれば、加入時期なんて大した問題ではないのではないか、といった疑問です。

 そしてこの疑問に答えてくれるデータは見当たりません。それもそのはずで、保険会社が過去の保険の保険料や返戻率の推移を明らかにしていない以上、そんなものはなかなか見つかるわけがありません。

 そこで今回は、利率変動型、利率固定型、変額型について、加入妙味があるのかないのか、出来る限り考察していきます。


◆はじめに結論

 結論としては「たとえ金利上昇に耐え得るとされる利率変動型や変額型であっても、この超低金利下で保険に加入するメリットは大変少ない」ということです。

 今加入するメリットよりも、今加入するデメリットのほうが大きいと考えられますので、今後金利が上昇すれば加入を検討し、上昇しないのであれば加入しないでよいと考えます。


◆最も安心な利率変動型を検討する。

 まずは、利率変動型を検討します。今後の金利情勢によっては保障額と解約返戻金額が増加するため、金利が上がれば旨みがあります。インフレリスクも一定程度は相殺できるため、安心です。

 それでは、値上げ前後の保険料を確認します。ここでは、2017年4月に値上げされた「三井住友海上あいおい生命」の「積立利率変動型終身保険(低解約返戻金型)」を載せます。

 ★2017年3月時点
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 ★2017年4月時点
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 4月保険は、3月保険と比べて70歳時点での死亡返戻率が20%ポイントも低く、解約返戻率も8%ポイントも低くなっています。

 4月保険は、最低保証利率の0.5%が今後も続くならば本当に魅力がない保険です。

 70歳の時点ですら死亡・解約返戻率も110%に届きません。40年間も掛け続けておいて1割も増えないなんてあんまりです。

 でも、今後40年間の平均利率が3月保険と同じ1.25%まで上昇すると仮定するならば、70歳の時点では3月保険と同等の死亡返戻率と3月保険より10%ポイント程度高い解約返戻率が期待できそうです。

 金利上昇を見込んだ場合、4月保険のほうが魅力的かもしれません。しかし、4月保険のほうが払い込む保険料が19%も高く負担が大きいことを忘れてはなりません。

 結局、4月保険の加入判断ポイントは、保障額に比べて割高な保険料を支払うというデメリットと、金利上昇によって3月保険を上回るかもしれないメリットとの比較です。

 私としては、メリットよりもデメリットが勝ると判断します。今後金利は上向くでしょうが、不確かなメリットに夢を抱くよりは、今後金利が上昇して旨味が出てきたならば加入、そうでなければ不加入、そのような付き合い方で十分だと思います。

 
◆返戻率が高い利率固定型を検討する。

 利率0.5%程度の利率変動型には金利上昇の追い風がない限り全く魅力がありませんでした。そこで、利率が変動しない代わりに返戻率が総じて高い利率固定型を検討してみましょう。

 それでは、値上げ前後の保険料を確認します。ここでは、2017年4月に値上げされた「オリックス生命」の「終身保険RISE[ライズ]<無配当終身保険(低解約払戻金型)>」を載せます。

 ★2017年3月時点
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 ★2017年4月時点
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 明らかに利率変動型よりも死亡・解約返戻率が高く、また保険料が安いことが分かります。

 値上げ後の利率固定型4月保険は、値上げ前の利率変動型3月保険と比べて60歳・70歳時点における死亡返戻率が同程度ですが、解約返戻率だと6%ポイント程度有利です。

 つまり、利率固定型4月保険は利率1.25%前後が見込まれていると考えられます。契約した場合、利率固定型なのでこの利率を一生背負うことになります。私は、これはリスクが大きいと考えます。

 日銀の異次元緩和によって大変低く抑えられているこの超低金利を一生背負うなんてリスクが高過ぎます。この考えは、値上げ前の利率固定型3月保険に対してでも変わりません。

 利率固定型3月保険の60歳以降の死亡返戻率は150%と高く見えますが、平均寿命の80歳まで生きると考えた場合、1.1%複利で運用されていることと変わりません。70歳までしか生きないとしても1.5%です。

 1%程度の利率を一生背負おうなんて判断を私は正当化できません。私のようなデフレしか知らない世代には1.1%の利回りですら魅力的に映るかも分かりませんが、私個人としてはリターンよりリスクのほうが大きいと思います。

 日本を含む主要先進国のインフレターゲットは2%です。中央銀行が「毎年2%ずつお金の価値を毀損していくぞ」と表明している以上、利率固定ならば最低2%複利は欲しいところです。

 従って、私はこの低金利時代の利率固定型への加入に私は反対です。

 ただし、お金に余裕があるならば、利率変動型も含めて比較的加入を前向きに捉えられる契約方法もあります。その方法は短期払です。

 60歳まで保険料を納めるのではなく、例えば10年短期払といった形での契約ならば、低解約返戻金期間の呪縛も10年で解けるため、返戻率と金利の状況によっては比較的容易に解約・乗換という選択肢を採用できるので、この柔軟さがあるならば加入余地も多少あると思います。


◆金融情勢に敏感な変額型を検討する。

 次に変額保険を検討します。この保険は、加入者自らが国内外の株式・債券を組み合わせて運用してハイリターンを狙う保険です。逆に言えば、保険会社が契約者に対して運用成功・失敗リスクを丸投げしたものです。

 解約返戻金は運用成果次第ですが、死亡保障には最低保証があります。最低保証があるにも関わらず、死亡保障額当たりの保険料が安価なため、解約しない限りは有利な保険とも言えます。

 また、株式や債券運用ができるため、インフレや金利変化に対して大変強みがあります。

 それでは、値上げ前後の保険料を確認します。ここでは、2013年と2017年の「ソニー生命」の「バリアブルライフ<変額保険(終身型)無配当>」を載せます。

 ★2013年6月時点
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 過去記事「8タイプから選ぶ『終身生命保険』(死亡保障だけの4タイプ)」より。

 ★2017年4月時点
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 4年間で保険料が30%以上も値上がりしています。それに伴い、死亡・解約返戻率も同程度低下しています。4年間で大幅に悪化したこの設計を一生背負う契約を結ぶことは、私には無理です。

 以前は、変額型といえば保険料が大変安価でした。過去記事「8タイプから選ぶ『終身生命保険』(死亡保障だけの4タイプ)」のとおり、円建て保険の中で最も安く加入できるものが変額型でした。しかし、今ではその優位性すら消え失せています。

 変額型4月保険の保険料は、利率固定型4月保険よりも少し高くなってしまっているのです(35歳契約の場合、利率固定型は26,950円)。

 結局、この保険に対する私の意見は、利率変動型と同様になります。即ち、不確かなメリットに夢を抱くよりも、今後金利が上昇してきて保険料が安価になり旨味が出てきたならば加入、そうならなければ不加入、そのような付き合い方が妥当だと思うのです。


◆それでも加入するなら2018年4月以降に。

 以上のように、今のような低金利下にあっては、利率変動型や変額型であっても魅力がないと私は思います。

 まして、2018年4月には保険料算定の基礎となる死亡率の引下げが控えています。

 低金利で旨味がない現状にあって、しかもあと1年経たずに保険料が安くなるという情報もあったら、とりあえず2017年度中に終身死亡保険に加入するのは有り得ない選択です。

 終身死亡保険に加入したい場合でも、少なくとも2018年4月までは待つべきだと私は思います。


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