私は、自動車保険の人身傷害補償額を『無制限』で契約しています。

 私が仮に年収1億円プレーヤーならば、『無制限』を選択するのは当然です。事故時の所得損失が大きいのですから。しかし、私はただの公務員です。

 ほとんどの人は『3,000~5,000万円』で契約していますが、私は『最低1億円』は必要ではないかと思っています。

 どうして『1億円』なのか考えてみましょう。


◆みんなは何万円で契約しているの?

 まずは、人身傷害契約者が選んだ補償額の割合を見てみましょう。

人傷


 半数の人は『3,000万円』で契約しており、8割もの人が『5,000万円以下』で契約しています。

 多くの人は『5,000万円以下』が妥当だと考えているようですが、どうしてそのような結論に至るのか疑問です。

 交通事故の結果、高校生に3億円の損害が認められたり、59歳の主婦に2億円の損害が認められている中、なぜ『5,000万円以下』で安心できるのでしょうか。


◆数億円の損害を想定しよう

 『交通事故弁護士全国ネットワーク』には、2億円や3億円以上の高額損害事例が多数掲載されています。

 事例のほとんどは、被害者の死亡ではなく、被害者が重い後遺障害状態に至ってしまった場合です。介護料が発生するため、後遺障害の負担は極めて大きなものになります。

 もし、あなたや同乗者が、2億円や3億円に上る損害を被ったとしたら、人身傷害の『3,000万円』で足りるのでしょうか。

 仮にあなたの過失割合が60%の事故で、あなたに3億円の損害が発生した場合、相手方から相手の過失に基づく1.2億円は受け取れるでしょう。しかし、残り1.8億円はあなた側で手当てしなければなりません。

 補償してもらいたい損害が『1.8億円』なのに、あなたの契約している人身傷害補償額が『3,000万円』なのでは、損害をカバーし切れません。


◆後遺障害のための『倍額条項』

 もし、あなたが『3,000万円』で契約していても、ほんの少し安心して下さい。

 なぜなら、重い後遺障害に伴う多大な金銭的負担については、保険会社も把握しており、後遺障害の場合には契約額の2倍を補償してくれる条項、通称『倍額条項』が約款に規定されていることが多いからです。

 倍額条項があれば『3,000万円』で契約していても、『6,000万円』まで補償してくれるのです。倍額条項は、人身傷害の紹介ページに小文字でチョロっと書いてあるかないか程度の扱いですが、保険会社のチョロ文章にしては珍しく加入者に有利なものです。

 あなたの自動車保険に倍額条項はありますか? ないようでしたら倍額条項のあるものに切り替えたほうが良いと思います。参考までに、各保険会社の倍額条項の有無についてNPO法人の『ホクネット』が調査した結果がありますので、リンクを貼っておきます。『3:重度後遺症の倍額条項について(5~8ページ部分です)』


◆保険会社が算出する損害額は裁判所よりも低額

 事故時の損害額の算出に関しては、保険会社が自社の約款に基づいて算出する損害額(=人傷基準)よりも、裁判所で認定される損害額(=訴訟基準)のほうがかなり高額なことが知られています。

 一例を挙げましょう。一家の支柱を失った場合の慰謝料について、例えば大人の自動車保険やソニー損保の約款には『2,000万円』との記載があります。その一方で、訴訟基準は『2,800万円』です。まさかの4割増です。

 従って、交通事故によって大損害を被ったならば、裁判所に訴えることを考えたほうが良いです。

 また、重要な点として、保険会社が訴訟基準による損害額を認めるかどうかといった問題があります。上記のホクネットのリンクで5~8ページだけでなく、1~4ページも見てみて下さい。

 なんと保険会社によっては、訴訟基準を認めないのです。裁判所で『3億円』の損害だと認定されているのに、保険会社が人傷基準を盾に『2億円』だと言い張る危険性を重く受け止め、訴訟基準に対応した自動車保険を選びましょう。

 また、ホクネット資料にあるとおり、人身傷害保険金を受け取るタイミングによっては、人傷基準となったり、訴訟基準となったりと変動する可能性もあるので注意しましょう。

 
◆費用対効果を踏まえて人身傷害『1億円以上』

 保険は費用対効果が重要です。人身傷害補償額を『1億円』にするのに年間保険料が10万円もアップするなら、それは契約すべきか悩ましい問題です。

 しかし、『1億円』にアップする程度なら、保険会社にもよりますが年間保険料はそこまでアップしません。

 例えば、30歳で初めて自動車保険に加入する場合で、『3,000万円』から『1億円』にアップするのに要する年間保険料は、大人の自動車保険で2,000円、ソニー損保で7,000円です。

 また、『3,000万円』から『無制限』にする場合は、大人の自動車保険で3,500円、ソニー損保17,000円です。

 両保険を比べると、上昇する保険料に大きな差があるため、補償内容に差異があるかもしれませんが、『1億円』までのアップは許容できるのではないでしょうか。

 『1億円』にしておけば、倍額補償で『2億円』まで対応できます。こちら側の過失割合が高めの事故を起こした場合でも、ほどほどに安心です。

 上昇保険料の高いソニー損保で考えてみても、年間7,000円の負担増で、『3,000万円』で契約するよりも最大で1.4億円も多く補償されるのですから、費用対効果は良好です。

 もちろん『無制限』のほうが安心ですし、おススメです。上昇保険料の高いソニー損保では『無制限』にするかどうか悩みますが、大人の自動車保険なら『無制限』を選びたいところです。

 『無制限』なら、こちら側の過失割合が極めて高い事故を起こしても、家族にビル・ゲイツが居ても大丈夫です。

 ちなみに、私が今年契約している保険会社はSBI損保です。別にSBIが最強だと申しているわけではなく、単純にSBIが最安だったに過ぎません。

 (ただ、SBIは例えば上述の慰謝料について、『1,700万円+状況により最大20%増額アリ』と規定しており、変なコストカットに積極的他社より控えめなので、思わぬ落とし穴がないか不安でもあります。約款の精査はさすがに負担ですし。。。)

 自動車保険は、毎年のように約款が変更されますし、条件次第で最安保険会社が変わるので更新のタイミングはホント大変ですよね。毎年のノンフリート等級の変動だけはRPGのレベルアップみたいで好きですが。



参考資料:大人の自動車保険の約款は『2014年6月1日』、ソニー損保の約款は『2014年4月版』、訴訟基準の慰謝料については「希望総合法律事務所


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