TPPや国家戦略特区の動きに呼応して、医療費に関する改革が進んできましたね。

 改革内容としては、先進医療を拡大し、未承認薬の使用を容易にし、超高額医療は自己負担にさせる、ということで、民間保険に頼る事態が増えそうです。

 以下、日経新聞電子版の記事を読みながら、これから必要になってくる保険について考えてみましょう。

「混合診療」、15年度から拡大 新成長戦略に明記へ(2014/6/4 0:53)

 政府は公的保険が使える診療と保険外の診療を併用する「混合診療」の対象を2015年度から拡大する。患者の選択肢を増やすとともに、医療技術の革新を促す。月内にまとめる成長戦略に混合診療を「大幅拡大」すると明記する。ただ、規制改革会議が提案した患者と医師が合意すれば混合診療を受けられる新制度案はなお調整中で、今後の焦点となる。


 混合診療が大幅に拡大されるそうです。これはつまり、先進医療のように、技術料は全額自己負担なものの、検査費用や入院費用は公的保険を使えるという診療方法が拡大するということです。

 今までは、先進医療の対象になっていなければ、技術料のみならず、検査費用や入院費用までも全額自己負担になっていたのですから、負担軽減であることは間違いありません。


 混合診療について安倍晋三首相は4月に「仕組みを大きく変える制度改革を関係閣僚で協力してまとめてもらいたい」と指示した。日本医師会など医療関係者は保険医療を崩す規制緩和として抵抗している。これまでに厚生労働省が決めた混合診療の拡大案は3つある。

 第一に、現在は重粒子線治療や遺伝子診断など一部に例外的に混合診療を認めている「保険外併用療養費制度」の対象を拡充する。14年度中に専門の評価組織を立ち上げ、再生医療や新しい技術を使った医療機器などを評価し、この制度の対象に加える。


 第一の拡大案は、先進医療の対象ですね。先進医療保障特約が活躍する機会が今後更に増加しそうです。

 ただし、先進医療保障特約の中には、主契約の医療保険部分が終身タイプであっても、この特約部分だけ10年更新タイプとなっている場合があるので、更新時に保険料が大幅アップなんて事態にならないように予め見直しておいたほうが良さそうです。


 第二に、他に治療手段がない患者が未承認の薬を混合診療で使える制度(日本版コンパッショネートユース)も15年度から本格導入する。今は未承認薬は薬の有効性を調べる治験でのみ混合診療が認められ、薬以外の入院費などは保険を使える。ただ、治験は年齢などで制限があり、対象に入れない人もいる。治験対象外の患者が未承認薬を使うと保険診療部分も含めて患者が全額負担しなくてはならない。新制度では治験対象外の患者も未承認薬を保険診療と併用できる。


 第二の拡大案は、未承認薬の使用を容易にすることですね。特異な部位にできたガン治療や、末期ガン治療での利用が想定されますね。

 それに伴って、先進医療保障特約のように、記事にあるような事態に限って保障してくれる特約の登場も想定されますね。先進医療特約みたいに、保険会社の乗り換え宣伝文句に利用される懸念がありますが、どうなるでしょうか。


 第三に、厚労省は治療効果があっても費用が高額過ぎる新薬・医療技術などを保険適用から外すことを検討する。これらの保険適用から外れた新薬などを患者が使いたい場合は混合診療で使えるようにする制度を16年度以降に新設することを目指す。


 第三の拡大案は、超高額治療は費用対効果が悪ければ自己負担ということですね。この制度が実現するなら、民間保険会社には頑張ってもらいたいです。

 上の未承認薬の話とも関連しますが、公的保険対象治療を利用し尽くした場合に、超高額治療や未承認薬で治癒あるいは延命の可能性が僅かでもあるなら、そこに手を伸ばさずにはいられません。

 是非とも、民間保険会社には第二と第三の拡大案を保障できる商品を設計してもらいたいです。

 

この3つの厚労省案ではいずれも混合診療は指定した医療機関で受けることを想定している。一方で、政府の規制改革会議は患者と医師が合意すれば、より幅広い医療機関で混合診療を受けられる「選択療養」制度の新設を提案している。規制会議は今月中旬にまとめる答申に新制度を盛り込みたい意向だが、厚労省は難色を示し、調整は時間がかかっている。


 これからも混合診療がどんどん拡大していきそうです。第三の改革案を悪用すれば、国として公的保険で支払う医療費を節約できてしまうことですし。

 今後の民間保険の動向としては、先進医療だけでなく混合診療全般を幅広く保障してくれる特約が出てきそうです。

 先進医療保障特約の需要が多いことは、ブログコメントを見れば分かりますし、混合診療保障特約も十分な需要が見込めます。

 しかしながら、既に医療保険に加入済みの人にとっては、悩ましい問題となります。なぜならば、混合診療保障特約が発売されても、単品販売されない限りは、医療保険の乗り換えや新規加入を検討しなければならないからです。

 私達消費者のニーズに合致した民間保険が望まれるのはもちろんですが、そもそも今回の改革によって国民皆保険制度に不具合が生じて、アメリカのように民間保険会社が幅を利かせる社会にならぬよう願うばかりです。


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