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 個人年金保険は、長生きすることに対する保険ですが、むしろ資産運用の面が前面に出された保険です。そのため、保険としての加入するのは、あまりお勧めしません。

 終身年金の場合、ギネス記録に並ぶ120歳(男性)まで生きたとしても、年金受取総額は払込保険料の3倍程です。100歳なら2倍程です。

 受取見込は保険料の2倍、3倍にもかかわらず、解約や減額で元本割れですし、保険料払込期間中に死亡した場合は無利子で保険料が返還されるだけ、年金受給が開始されても、最低でも平均寿命まで生きなくては大きな元本割れです。しかも年金受取時には雑所得として課税されます。

 確定年金にしても、解約や減額での元本割れ、保険料払込期間中の死亡で無利子保険料返還、年金受取時課税という不利な点は同じです。そして何より、年金は10年間しか貰えないので、長生きリスクには対応できません。

 この程度の保険なら、定期預貯金や日本国債での運用で十分だと思います。不測の事態が生じても元本割れしませんし、保険会社が破綻しようと関係ありません。定期預貯金や国債も歌人年金保険よりは遙かに流動性が高いので、高利率の金融商品が見つかった場合の乗り換えも楽々です。

 こんな大した事ない個人年金保険ですが、保険控除による節税には目を見張るものがあるので、預貯金の一部として利用することには有用なのです。預貯金の一部としてなら、やや必要」で詳しくご説明いたします。


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 個人年金保険は、長生きすることに対する保険ですが、「保険としては、やや不要」で書いたとおり、保険として加入するのは有意義ではありません。

 しかし、保険としてではなく、預貯金の一部として利用することに関しては、必要性があります。つまり、預貯金に回す金額の数%を個人年金保険に向けるということです。定期預貯金を遙かに凌ぐ金利1.5%以上も可能です。

 まず、個人年金保険に支払う保険料は、保険料控除の対象です。しかも、生命保険や医療保険とは別枠の控除なので、利用しない手はありません。2012年以降契約分の控除額の計算は次のようになります。

【所得税】
年間の払込保険料 → 控除額
20,000円以下 → 払込保険料の全額
20,001円~40,000円 → 払込保険料÷2+10,000円
40,001円~80,000円 → 払込保険料÷4+20,000円
80,000円超 → 一律40,000円

【住民税】
年間の払込保険料 → 控除額
12,000円以下 → 払込保険料の全額
12,001円~32,000円 → 払込保険料÷2+6,000円
32,001円~56,000円 → 払込保険料÷4+14,000円
56,000円超 → 一律28,000円

 それでは、具体的に見ていきましょう。毎月2,000円の保険料支払いであれば、所得税で22,000円、住民税で18,000円が所得から控除されます。これは、所得税率が10%の方(多くの30代が該当)の場合、納税額が毎年「4,000円」少なくなるということです。

 24,000万円の支払保険料に対しての「4.000円」なのでかなりお得です。昇給して所得税率が20%(住民税は所得に関係なく一律10%)にもなれば納税額は毎年「6,600円」少なくなります。しかも保険料は掛捨てではないので、返戻率が100%になった頃に解約すれば、預貯金よりも得したことになります。

 このように、お得に思える個人年金保険ですが、もちろん注意点があります。それは、返戻率が100%になるには20年程の年月を要する点です。契約から数年で解約又は減額するような場合、払込保険料に対して大幅な損となります。ですから、絶対解約又は減額しない額での契約が大前提になります。

 もう一つ注意点があります。それは、上記の控除額計算表のとおり、支払保険料を上げれば上げるほど節税効果が低くなる点です。節税効果が最大なのは、住民税の12,000円に合わせて月払保険料を1,000円とした場合です。

 なお、月払保険料が1,000円、2,000円では、多くの保険会社で、最低支払保険料に届かないので契約できません。ですので、始めは最低保険料で契約しておいて、保険料の減額を保険会社に依頼することになります。

 次に、実際に試算してみます。所得税率10%の人が月払保険料2,000円の個人年金保険に加入し、20年後の返戻率100%時に解約したとしましょう。この場合、総払込保険料48万円に対して、納税免除額の総額は8万円です。これは、銀行金利に直すと1.5%複利と同じです。

 また、月払保険料が5,000円の場合、総払込保険料120万円、総納税免除額12.6万円、複利金利にして0.9%、という結果になります。

 個人年金保険が年金や保険として有用かはともかく、控除枠が空いているなら、少額からでもよいので活用してみてはどうでしょうか。


 個人年金保険の加入に当たっては、年金の受取を「10年確定年金」などの「確定年金型」とするか、「10年保障付終身年金」などの「終身年金型」にするかで悩まれることでしょう。

 この答えは、「確定年金」と「終身年金」の平均受取額を試算すれば見えてくるのではないでしょうか。そう思って、厚労省の出している生命表を使って、各年齢での死亡者数を調べて試算してみました。

 結果は…、「平均受取額に大差なし」でした。さすが保険会社、完璧な保険設計です。

 しかし、この試算は無意味ではありません。何故なら「平均寿命が伸びている」から「終身年金」を選ぶべきという答えが導き出せるからです。

 平均寿命が伸びるということは、それだけ長い期間年金を受取る人が増えるということなので、自ずと「終身年金」が有利になるわけです。今の契約者が年金を受取る頃には、医学の進歩も手伝って平均寿命が伸びることは確定的でしょう。

 「終身年金」を選ぶべき理由はそれだけではありません。「確定年金」を推す側の考えとして、「60歳の年金受給直後に死亡した場合に、「終身年金」は損である」というものがあります。

 果たして本当に「損」なのでしょうか。通常、60歳になる前に老後資金をせっせと貯めます。そのため、保険加入者が60歳で死亡した場合、遺族、特に配偶者は「二人で使う」予定の老後資金を「一人で使う」ことになります。保険の「損」なんて何のその、生活には困りません。

 一方、保険加入者が90歳、100歳まで生きた場合はどうでしょうか。長生きすればするほど老後資金は減り、生活は困窮していきます。このような「長生きリスク」に対応できるのは「終身年金」だけです。

 以上で明らかなとおり、個人年金保険では「確定年金」よりも「終身年金」を選ぶべきなのです。また、そもそも、「確定年金」のほうが優れているのであれば、公的年金が「終身年金」の形態をとっているわけがありませんから。


 個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)が2016年1月から大幅に制度改善・拡充されて開始します。サラリーマン世帯の対象拡充もさることながら、新たに私のような公務員や主婦も対象に加わるということで、イデコの検討は不可避です。

 なお、イデコを簡単に説明しますと、「掛け金は所得控除で、利子収入も非課税で、年金受取時も税制優遇されて、元本確保型もあるけれど、60歳まで現金化できない自分専用年金」です。


◆結論!!サラリーマンは加入せよ!!

 はじめに結論を述べておきます。

 まず、一般的なサラリーマンや公務員は加入すべきでしょう。何故なら、今までどおりの預貯金や株式運用に励むよりも有利だからです。

 一方、加入する必要性が大変低いのは専業やパートの主婦・主夫です。何故なら、これらの方は所得税と住民税率がゼロ近辺なため、イデコ最大の確定メリット「掛け金の所得控除」という恩恵を受けられないからです。

 なお、主婦・主夫であっても、年金受取時の退職所得控除でのメリットは受けられるので、運用で成功した場合にお得ではあります。しかし、NISAのほうがお得なのでイデコを使うのはNISA枠を埋めてからのお話です。


◆【試算】預貯金するならイデコを使うべし!!

 さて、イデコがどれほどお得か、30歳でイデコに入った場合を例にして考えてみましょう。

契約者:30歳
契約期間:59歳まで
年金受取方法:60歳の退職時一括受取
掛け金:12,000円/月。総額432万円。
管理手数料:167円/月(SBI証券を念頭)
運用手数料(=信託報酬):0%
運用利回り:0%
税率(30-39歳):20%(所得税10%+住民税10%)
税率(40-59歳):30%(所得税20%+住民税10%)
無視したもの①:1回限りの無視できる支出(確定拠出型年金加入費、解約手数料(=信託財産留保額)、年金給付時の金融機関手数料)
無視したもの②:イデコ導入後凍結されている税制(特別法人税)、必要な場合もあるが概ね必要ないもの(投信の買付手数料)

 まず、確定拠出型年金に加入せずに堅実に積み立てた場合の【普通の預貯金】グラフを見てみます。432万円貯まります。

イデコグラフ1

 次に、利回り0%で元本確保型の確定拠出型年金に加入した場合の【±0%イデコ】グラフを見てみます。477万円貯まります。

イデコグラフ2

 【±0%イデコ】では毎月の掛け金が非課税所得になるので【普通の預貯金】よりも45万円も多くお金が受け取れます。

 60歳で一気に目減りしているのは、一括受取時に受取額の半額について30%の税金(所得税20%+住民税10%)がかかるためです。なお、退職金の多少で税率も上下します。

 既にお得なイデコですが、ここから更に利子収入が上積みされることはもちろん、年金受取方法を一括受取ではなく毎年受取にして税控除枠を分ければもう少しお得にできます。計算と説明が面倒になるので試算しませんけれども。

 さて、45万円の儲けということは30年間で10%の収益です。年間0.63%複利で運用したことになります。この超低金利時代に悪くない成績です。

 さぁ、この時点で一つの結論が出せます。

 預貯金するならイデコを使うべし!!


◆節税メリットはデメリットを上回る!!

 これでイデコのメリットは分かりました。しかし、デメリットが巨大かもしれませんので、見てみましょう。

 イデコのデメリットで大粒なものとしては2点、「原則60歳まで現金化できないこと」「特別法人税の凍結解除」です。

 現金化できないのは困りものです。60歳までにお金が必要になった場合に困ります。自分が所定の障害状態になった場合は障害年金として回収できるので良いのですが、配偶者や子供に障害が発生したら。。。困りものですね。

 しかし、このデメリットはあらかじめ毎月の掛け金を控え目にしたり、掛け金の支払いを止めればよい話なので、大した問題ではありません。

 問題は、特別法人税です。現在は凍結中ですが、これが復活すると大変危険です。復活すると、数十年に及ぶ拷問の幕開けです。

 もし復活したら、積立金全額に対して毎年1.2%程の額を税金として持って行かれるのです。株式等運用型で必要な信託報酬と合わせたら毎年マイナス2%の資産減少は確定したも同然です。

 60歳まで現金化できずに毎年マイナス2%搾り取られる、もはや身の毛もよだつ悲劇、シェイクスピアですら真っ青です。

 しかし、希望はあります。こんな極悪非道な特別法人税は日本が高金利になるまで凍結されたままだと考えられるからです(願望混じり)。特別法人税についてちょっと考えてみます。

 イデコやその先輩の401k(確定拠出年金)、そして彼らの祖先みたいな企業年金は、基本的に積立金自体が非課税で、積立金から生じる利子や配当金も非課税です。そしてこれらに課税されるのは年金給付開始の60歳からなのです。

 つまり、数十年間にわたって非課税収益から非課税収益が生まれ続けるわけです。これは富豪投資家へ至るゴールデンルートです。さすがに有利過ぎます。

 だから高金利時代の昭和中期に政府は決めました。

 「大きな課税は60歳まで待ってやる。しかし、タダで60歳まで待つわけにはいかない。なぜなら、お前は本来ならば課税されていて得られるハズのない利益を手にしているし、課税を待ってやるんだから利息的なものを払って当然だからだ。従って、積立金の1.2%程を毎年払ってもらう。」

 そんな特別法人税ですが、凍結中です。凍結に次ぐ凍結で401kに課税されたことはありません。多くの人が元本確保型に加入している中、こんな低金利の時代に1.2%も取っていたら誰もイデコや401kに加入しませんものね。

 従って、特別法人税が復活するのは相応の金利環境下だと推察されるので、特別法人税復活リスクを理由にイデコ加入を諦めるべきではないと思います。

 このように、イデコの2大デメリットを踏まえた上で改めて考えてみても、安直に預貯金に励むよりはイデコを使うべきだと考えられるのです。

 しかしながら私は預貯金よりも投資を愛します。元本確保型に興味はありません。イデコで投資信託を買った場合に有利か不利か、これが私の目下重要な検討事項です。そこで、次回記事にて考えてみます。


【参考】
特別法人税について「All About 私の401k資産に「法人税」がかかる?~特別法人税の話」