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 本来保険は、低廉な保険料で高額の保障を買う商品です。ガン保険も、この性質どおりなのか考察します。まずは、ガン保険と生命保険の定期保険について、被保険者は30歳男性、商品は割安を謳うネクスティア生命とし、同程度の月額保険料で比較します。

 商品名:カチッと定期
 保険期間:10年
 月額保険料:1,377円
 保険金:900万円
 40歳までの死亡率:0.86%(厚労省 平成21年 平均余命表)

 商品名:カチッとガン保険
 保険期間:10年
 月額保険料:1,300円
 診断給付金:200万円(1回限り)
 入院日額:2万円
 40歳までの罹患率:0.5%(最新ガン統計の現在年齢別がん罹患リスク)

 さて、万が一の場合にいくら支払われるでしょうか。生命保険は900万円です。ガン保険は給付金200万円と入院日額です。入院日額は、甘めに加味してガンでの平均在院日数の2倍に当たる50日とし、受取総額を200万円+100万円の計300万円とします。

 保険料が同程度にも関わらず、方や900万円、方や300万円です。しかも、ガンに罹患する確率のほうが低いのです。ガン保険の適正保険料を考えた場合、1,300×(300万/900万)×(0.5/0.86)=252円でしょうか。
上記試算を見る限り、少なくとも30歳男性が定期タイプのガン保険に入ることは、保険料として高過ぎるため、馬鹿らしいと言う外ありません。では、60歳男性ならどうでしょうか。

 商品名:カチッと定期
 保険期間:10年
 月額保険料:7,614円
 保険金:600万円
 70歳までの死亡率:11.4%(同上)

 商品名:カチッとガン保険
 保険期間:10年
 月額保険料:7,800円
 診断給付金:200万円(1回限り)
 入院日額:2万円
 70歳までの罹患率:14%(同上)

 さて、ガン保険で幾ら受け取れるでしょうか。高齢になると入院日数が延びますが、そもそもガン患者は高齢者に多く、全体平均も高齢者平均も2、3日しか差がないので、先ほど同様50日間入院したとします。よって給付金と合わせて300万円受け取れます。方や600万円、方や300万円です。

 この場合のガン保険の適正保険料は、7,800×(300万/600万)×(14/11.4)=4,789円でしょうか。30歳で契約するよりはマシですが、それでも生命保険と比べ4割弱も無駄な保険料を支払うことになります。

 10年間で96万円も支払っておきながら、86%の確率で全額が無意味と化し、14%の確率で受け取れても300万円です。一方、アフラックの調査や、がん治療費.comの示すとおり、14%の確率で罹患しても多くの場合、払込保険料と同額の100万円程の治療費で済みます。これをどう捉えるかは人それぞれですが、私は割に合わないと感じます。

 以上を通して考察するに、少なくとも定期タイプのガン保険が、低廉な保険料で高額の保障を備えている商品とは言えません。保険料分を積み立てた方が合理的です。では、終身タイプならどうか。「ガン保険はやや不要(費用対効果が悪い:終身)」へお進み下さい。


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 早速、定期タイプの汚名を返上できるか、終身タイプの費用対効果を確認します。被保険者は30歳男性とします。

 保険会社:オリックス生命
 商品名:ガン保険 Believe〔ビリーブ〕
 保険期間:終身
 保険料払込期間:60歳払済
 月額保険料:3,480円
 診断給付金:初回は150万円。2回目以降は50万円。
 入院日額:1万円
 手術給付金:20万円
 退院給付金:10万円
 総払込保険料:125万円
 生涯での罹患率:54%(最新ガン統計の現在年齢別がん罹患リスク)

 さて、幾ら受け取れるでしょうか。同社の受取例に基づけば、診断給付金150万+入院日額1万×30日+手術給付金20万+退院給付金10万=210万円です。125万円もの掛金を払って、210万円です。これでは、保険の基本である「低廉な保険料で高額な保障」とは言えません。

 また、運良く(悪く?)再発・転移が起きて再度保険金を受け取る場合でも、受取例に基づけば、診断給付金50万+入院日額1万×25日+手術給付金20万+退院給付金10万=105万円です。初回の保険金と合わせれば315万円です。

 125万円に対して315万円ですから、費用対効果は315万÷125万=2.5倍です。費用対効果がたかだか2.5倍程度の商品が、低廉な保険料で高額な保障を備える「保険」と呼べるのか甚だ疑問です。

 では、罹患の危険性が高まる60歳男性の場合はどうでしょうか。同一商品、同一保障でみてみます。

 保険料払込期間:終身払
 23年間(平均余命)の総払込保険料:219万円

 保険料払込期間:65歳払済
 総払込保険料:175万円

 生涯での罹患率:54%(同上)

 ご覧のとおり、費用対効果は更に悪化しました。定期タイプの比較の際に述べたとおり、罹患しても多くの場合100万円程の治療費で済みます。46%の確率で200万円前後の保険料を無駄にする一方、貰えたとして315万円です。心疾患、脳血管疾患、痴呆症、要介護、あらゆる傷病の危険性が高まる高齢期、罹患するかも分からないガンに過度の保障を掛けるより、手元資金として残しておくほうが良いのではないでしょうか


 ガン保険の必要性として「高額な治療費」が挙げられます。しかし、他の傷病でも治療費が高額になる可能性はあります。ガンで治療費が高額になる理由は何か、以下5項目について考察します。

 第1に、高額療養費制度です。ガンも他の疾病と同じく同制度の対象で自己負担の上限額が決まっているため、過度の心配は無用です。

 第2に、入院日数です。厚労省の「平成20年 患者調査」によれば、ガンの平均在院日数は23.9日と、全疾病の35.6日に比べ短いです。また、退院後30日以内の再入院率は19%と他の疾病の2倍ありますが総数に占めるガン患者の割合は10%ですし、半年以上の中長期入院して退院した患者数でも、ガン患者は総数の7%なので、他の傷病と区別する必要性は感じられません。

 第3に、平均的な治療費です。NPO法人が運営する「ガン治療費.com」によると、余程重篤な進行ガンの場合を除けば、手術と化学療法で完治に至る5年間で自己負担額は100万円程です。100万円程で完治するなら、保険ではなく貯蓄の範囲でしょう。

 第4に、再発・転移による治療です。市民医療協議会の「2009年 ガン患者意識調査」によると、28.5%の患者が再発・転移を経験しており、それによる負担増加があります。薬価の高い抗ガン剤治療などが続くことを考えると、他の傷病より恐れる部分です。

 第5に、未承認薬による自由診療や先進医療による治療費です。利用者数は少ないものの、公的保険の利かないこれらの治療を行うと、治療費は青天井式に高額化します。

 以上のように、多くのガン患者は保険に入る必要もない100万円程の支出で完治します。しかし、一部の患者については、進行ガン、再発・転移により、未承認にしろ承認済にしろ薬価の高い抗ガン剤の使用を長期間にわたって行うため、治療費がとても高額になります。そこに保険の必要性が生じるのです。

 ここで問題となるのが、高額な治療費を必要とするガン患者の割合です。この割合が低ければ、わざわざガンのみに備える理由はありません。この点につき、「ガン保険はやや不要(治療費が高額な患者割合)」で掘り下げたいと思います。


 ガン保険加入に当たっては、治療に要する費用を把握することが重要です。本当に保険をかける程の治療費が必要なのか、アフラックの2010年「ガンに関する意識調査」をご覧下さい。

 いかがですか。ガン保険の加入を考える私達「ガン経験の無い人」の予想治療費は、「50万円程度」が3.7%、「300万円より多い」が32.1%です。一方、「経験のある人」の実際の治療費では「50万円程度」が36.3%、「300万円より多い」が5.2%と割合が逆転しています。実際の治療費は然程高くないのです。

 しかし、同調査はある一時点での治療費合計を示しているので、同調査をもって「治療費が高額な患者割合」は示せません。何故ならば、回答者のうち、治療継続中の者はこれから治療費が加算されますし、治療終了者であっても再発・転移での加算があるからです。もっとも、罹患者の多くは高齢者のため、後述するように医療費軽減措置が図られるので、割合が劇的に変化することはないでしょう。なお、「高額な治療費」とは、「200万円以上」程度を念頭に置いています。

 結局、「治療費が高額な患者割合」はいくらなのか。その答えは「ガンでの死亡率」で見い出せそうです。「ガン保険はやや不要(治療費が高額な理由)」のとおり、治療費が高額になる主因は、「進行ガン」、「再発・転移」です。さて、以上2類型に共通して言えることは何でしょうか、それは「いずれガンで死亡する」ということです。「がんになったら手にとるガイド」にも次の記述があり、命尽きるまで抗ガン剤治療を行わなければならないことが分かります。

 転移や再発したがんやある程度進行したがんでも根治できることもありますが、ほとんどの場合は困難で、「がんによる症状を和らげること」「がんの進行を抑えること」が治療の目標になります。

 よって、「ガンでの死亡率」が参考になると言え、その確率は国立がん研究センターの「最新ガン統計」の「現在年齢別がん死亡リスク」のとおり、現在0歳~60歳の男性なら生涯で26%です。

 しかし、26%の人全員について、ガン保険が必要ということではありません。26%の内訳としては、当然高齢者が多数を占めます。高齢者の医療費を見てみると、70歳~74歳の一般所得者の場合、外来自己負担限度額は24,600円ですし、75歳以上の一般所得者の場合、同12,000円で済みます。入院を伴うと、それぞれ、62,100円、44,000円まで上昇しますが、「医療保険は不要(65歳以上で更に不要)」のとおり、入院を恐れる必要はありません。

 詰まる所、70歳以降に罹患し治療を受ける場合は、ガン保険が必須ではないのです。前述のとおり、生涯を通しガンで死亡する確率は26%でした。そのうち、70歳以降にガンで死亡する確率は20%程です。60代で罹患し70歳以降に死亡する可能性などを加味しても、現在の医療制度の下では、およそ7%の人にしかガン保険は必要ないでしょう。

 ガン保険に加入するなら、この7%に備えるものがベストです。しかし、既存のガン保険はおよそ50%に上る生涯罹患率を前提に組み立てられた商品であるため、残り43%の必須とは言えない保障部分にまで保険料を払うことになり、また、罹患しない場合には保険料全てが無駄になりかねないため、契約は慎重になるべきなのです。


 ガンでの死亡率が高いから、ガン保険で備えるべきという人がいますが、果たして妥当な意見でしょうか。確かにガンによる死亡者数も、死因に占める割合も年々増加しています。しかし、「ガンでの死亡率」は年々減少しています。「!? 数も割合も増加すれば「死亡率」も上昇では?」と思うことでしょう。論より証拠で、国立ガン研究センターの「年次推移」中の「年齢調整ガン死亡率の推移」をご覧下さい。

 「年齢調整ガン死亡率の推移」は、高齢化など年齢構成の変化による影響を除いた「死亡率」です。日本は高齢化社会です。高齢者が多数を占める現状を鑑みれば、ガンでの死亡者数が年々増加し、死因割合も増加するのは当然です。一方で、ガン検診の普及や医学の進歩によって、「ガンでの死亡率」が減少するのも、また当然です。

 そんな中、ガン保険大手のアフラックは、「このページ」で年齢調整を行っていない、ガン保険検討の上では全く無意味な図を引用しています。アフラックは、ガンの恐さを前面に出すために、「年齢調整死亡率」と直近数値に2倍もの開きがあり、急な右肩上がりを示している「年齢調整死亡率」を意図的に使っているのです。これをもって、ガンでの死亡率が増加云々言われても、詐欺にしか思えません。

 死亡率の低下が示すことは、「ガン保険はやや不要(治療費が高額な患者割合)」のとおり、ガン保険の必要な人の割合も低下するということです。しかも、「年齢調整がん罹患率の推移」のとおり、罹患率が上昇する中での死亡率の下落です。自身の死亡リスクの増大する高齢期には、ガンは死因1位の座を下りているかもしれません。「死因1位」は「生涯罹患率50%」同様、ガン保険に加入させるためのセールストークに過ぎません。


 ガン保険のパンフレットなどでは、ガン保険の必要性の一つに「生涯で2人に1人が罹患する」ことが挙げられています。その確率自体は、国立がん研究センター「最新がん統計」の「現在年齢別がん罹患リスク」のとおり、間違ってはいません。しかし、罹患率の高さ自体はガン保険加入に当たり問題ではありません。問題なのは、罹患者のうち、保険が必要な程の治療費を要する患者の割合です。

 何もガン罹患者全員が数百万円もの治療費を支払うわけではありません。「ガン保険はやや不要(治療費が高額な患者割合)」のとおり、数十万円で済む人も多く居ます。数十万円で済むのなら、保険ではなく貯蓄で賄う額だと私は思います。

 ガンに罹患するかも分からないのに、数十万円の治療費のために生涯で100万円以上もの保険料を支払うことは妥当ではありません。しかし反対に、自身が数百万円の治療費を支払う側に該当した場合には、ガン保険が真の意味で活きてきます。

 ですから、「保険が必要な人の割合=高額な治療費を要する割合」なのです。結局、「生涯罹患率50%」とは、「死因1位」同様、保険会社のセールストークに過ぎないのです。


 ガン治療に対しては早期発見が効果的なのは周知のとおりで、そのためにはガン検診が重要なことも周知のとおりです。

 しかし、ガン検診の普及率は、40歳以上の男性の場合、科学的に効果が証明されている胃、大腸、肺ガン検診の受診率は、およそ3割と低いのです(厚労省「平成19年 国民生活基礎調査」)。しかも、リスクの高まる60歳頃から受診率が低下しており、事態は深刻です。一方、胃、大腸、肺ガンの死亡者は、全ガン死亡者数のおよそ5割にも上ります(国立がんセンター「最新がん統計 部位別がん死亡数 2009年)。

 ここで気が付くことは、「あなた」がガン検診受診者であれば、「ガン保険はやや不要(死因1位の裏側)」などで示した、死亡確率は直接当てはまらないということです。

 例えば、40歳男性がガンで死亡する確率は26%です。よって、100人の40歳男性が居た場合、このうち、胃、大腸、肺ガンで死亡する人は13人です。仮に「あなた」が、検診受診者であれば、その13人には含まれる確率は低下するのです。

 もっとも、検診受診者のガンで死亡する確率が半分の13%になるわけではありません。毎日新聞のネットページにガン検診を受けることによる「「死亡率減少効果」は大腸がん60%、胃がん59%、子宮がん78%という成績なのに対し、肺がんと乳がんは28%、19%」との記述があります。

 よって、胃、大腸、肺ガンで死亡する確率をおよそ45%引き下げることに繋がるため、検診受診者であれば26%の死亡確率を20%に押し下げることが見込めます。しかし、先の「部位別がん死亡数」には、検診受診者も含まれていますから、最終的には、検診受診者のうちガンで死亡する確率は21%程と言えるでしょう。

 世の中には、あらゆるガンに関する統計がありますが、自身が検診受診者であれば、それらを鵜呑みにしないことです。死亡率の低下は、「ガン保険はやや不要(治療費が高額な患者割合)」のとおり、ガン保険が必要な人の割合が低下するということです。

 未だガン検診を受けていない人は、ガン保険の加入を考える以前に、定期的なガン検診の受診を、まず第一に実践すべきです。


 ガン保険の必要性を考えるに当たって、どのようなガンに備えるか考えることが重要です。すなわち、「数十万円で完治するガン」と「死ぬまで毎年数十万円~数百万円の支払いが続くガン」の両方か、或いは一方かです。

 私は、ガンに罹患するかも分からない中、貯蓄でも対応可能な前者に対する保障にまで保険料を払う必要はなく、後者のみ保障があれば十分だと考えます。しかし、既存のガン保険はどうでしょうか。保険料に比して保障が悪く、契約は慎重にならざるを得ません。理由は大きく4点あります。

 1点目は、軽微なガンに対する保障が余計という点です。「ガン保険はやや不要(治療費が高額な理由)」のとおり、ガン罹患者全員が数百万円もの治療費を要するわけではありません。数十万円で済む軽微なガンに対して診断給付金などを含め全ての保障は不要で、むしろ貯蓄で対応困難な程に高額な治療費を要する「進行ガン」、「再発・転移」の保障が厚くなければなりません。

 しかし、既存のガン保険は、ガンの軽重に関わらず保障する設計となっています。ガンに罹患しない場合に全保険料が無駄と化す中、「軽微なガン」に対する保障は余計です。例えば、保障条件を「ステージⅢ以上のガン又は再発・転移の診断確定」として、保険料を抑えた商品が望まれます。

 2点目は、抗ガン剤治療のみを保障するプランがない点です。「同(治療費が高額な理由)」のとおり、治療費高額化の主因は、薬価の高い抗ガン剤による治療を、命続く限り、効果続く限り行うためです。具体的には、高額療養費制度により一般所得者の場合、月の支払上限は44,400円になりますので、治療費だけで年間53万円もの自己負担が一生続きます。70歳以上の場合は年間30万円、75歳以上の場合は14万円です。

 ガン保険に加入するならば、抗ガン剤による治療保障が必要です。ガン治療は今や外来が基本ですので、入院や手術の保障は不要と言っても過言ではないです。抗ガン剤治療を行った月に、5万円程の給付金が必要でしょう。しかし、既存のガン保険は、この抗ガン剤治療特約をあくまで「特約」としており、入院、通院などの必須とは言い難い保障が漏れなく付いてきてしまうのです。

 3点目は、先進医療・自由診療のみを保障するプランがない点です。治療費高額化のもう一つの要因が、重粒子線治療などの「先進医療」と未承認薬使用などの「自由診療」です。これらの治療は、「ガン保険に入るなら(自由診療と先進医療)」のとおり、利用する機会はとても少ないのですが、その機会に遭遇してしまった場合、もはや貯蓄で対応というレベルの話ではなくなります。ここにこそ、保険の必要性があります。

 しかし、既存のガン保険は、先進医療を保障する商品は多々あるものの、自由診療までも保障する商品はセコム損保の「メディコム」だけです。ただ、メディコムもその他の保障が漏れなく付いてきてしまいます。

 4点目は、先進医療・自由診療の保障を除き、保障期間は70歳或いは75歳までで十分という点です。70歳からの治療費は前述のとおり大幅に軽減され、収入も年金なので途絶えません。

 しかし、既存のガン保険は、終身タイプが基本なので70歳以降の保険料を若いうちに前払いすることになります。一方の定期タイプにあっては、「ガン保険はやや不要(費用対効果が悪い:定期)」のとおり、罹患する確率の割に保障が少なく、保険としての商品性に疑問が残ります。

 おまけに、高額療養費制度の改善が近い将来行われそうです。政府は、ガンや難治性疾患での高額な治療費負担を踏まえ、高額療養費制度に年間上限を設ける方向であると2011年5月に報道されています。前述のとおり今で年間53万円ですので、年間30万円程度が上限になるでしょうか。その場合、ガン保険の必要性は更に低下します。

 以上をとおして、既存のガン保険は改善の余地が多々あり、終身にしろ定期にしろ契約するには注意が必要だと言えるのです。ここに、既存のガン保険には有力なものがないため、現時点では「やや不要」という私の結論に至ります。

 「それならガンへの備えはどうするのか」といった質問がありそうですが、私は貯蓄で対応するつもりです。人生には様々なリスクがあります。ガンにだけ備えたところで、精神疾患や難治性疾患の発症、医療制度改革、交通事故、要介護状態、リストラ等々には対応できません。ですので、医療保険もガン保険も入らずに不測の事態への備えとして最低100万円程をキープしておくことを皆様にもお勧めします。


がん保険の必要性について、皆様からのご臓談を受けて最近個人的に「???」が多くなってきたので、一度整理しようと思います。私は普段、保険の必要性を考えるに当たっては、「いつ」、「どんな」場合に保障が必要か考えて結論を出します。

そこで、がん保険も、「いつ」については「勤労期」と「年金生活期」に分けて、また、「どんな」については主たる治療が「入院治療」か「通院治療」かに分けて考察してみます。なお、保険による保障が必要となるであろう長期間の闘病に絞って考察します。


■「勤労期」×「入院治療」
まず、がんが長期入院を要するかについて、厚労省の「平成20年 患者調査」によれば、長期入院の殆どが精神疾患によるものであり、がんの罹患者は少なすぎて統計上表記されていません。これでは、がんの入院に備えるよりも、長期入院対応型の医療保険に入るなり、保障を厚くするなりしたほうが有意義です。

よって、この場合がん保険は「不要」です。


■「勤労期」×「通院治療」
この場合、仕事は継続できるものの、残業ができなくなるなど収入の低下が見込め、また、医療費は高額療養費制度を踏まえると年間約50万円必要です。「収入低下分」と「医療費50万円」を毎年賄わなければなりません。
しかし、入院と異なり収入が0になるわけではないため、基本的には貯蓄と生活費の切り詰めで対処すべきでしょう。

ただし、勤労期の定期保険であれば、支払保険料に比して保障が大きいため、保険としての価値も高いので、加入することも選択肢には入ります。終身保険は後述の「年金生活期」で無駄が出るので、消極的にならざるを得ません。

よって、この場合がん保険は「定期保険でなら一考の余地あり」です。


■「年金生活期」×「入院治療」
高齢者になった場合でも、長期入院の対象疾病は、精神疾患と循環器疾患が殆どなので、「勤労期」同様、がん保険ではなく医療保険に入ったほうが有意義でしょう。もっとも、「医療保険は不要(65歳以上で更に不要)」のとおり、医療保険も要りませんけれども。

よって、この場合がん保険は「不要」です。


■「年金生活期」×「通院治療」
この場合、70歳以上になれば高額療養費による公的保障が手厚くなり自己負担額が12,000円/月となる点を踏まえれば、保険が必須とまで言える支出ではないため、一先ず70歳以上については、がん保険が不要でしょう。

一方、70歳未満の場合は44,400円/月のため、保険金がないと厳しそうです。ただし、70歳まで踏ん張れば負担が大幅に軽減されるため、必ずしも保険で備える必要性は低いでしょう。

よって、この場合がん保険は「8割方不要」です。


以上の結果、がん保険は「基本的に不要だが、勤労期の一定期間について、定期保険に加入することは意義がありそう」と考えられます。

もっとも、将来「年金生活期」の医療制度が改悪される可能性が高いから「今のうちから終身保険に加入すべき」などの意見もあるかと思いますが、今から改悪を見越して加入することには疑問です。改悪以外にも不確定要素は多々あるはずです。

例えば、医学の進歩、ハイパーインフレ、TPPによる混合診療・自由診療の全面解禁、高額療養費制度は現在年間上限を設けるなど長期間治療者に優しい設計に移行しようとしていること…ざっと思いつくだけでもコレだけあります。あまり先のことまで不安がって陳腐化のおそれがある現行の保険に加入する意義は果たして大きいのでしょうか。