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 もしも保険が、相互扶助を目的とする消費者側に立った善良な商品だと思っているなら大間違いです。

 保険会社だって立派な民間企業であることを忘れてはなりません。私達の生活設計よりも自社の利益のほうが遙かに大事なのです。

 「高利回り保険の転換問題」や「保険金不払い問題」などの発生は、私達よりも自社の利益を優先している証拠と言えるでしょう。

 保険会社は、私達の支払っている保険料から、役員や従業員に高額な給与を支給し、新たな顧客獲得のための高額なCM広告宣伝費を支出し、残った額を万が一の時の保険金支払いのために積み立てているに過ぎません。

 私達は、まず保険全般が良い商品であるという認識を捨て去り、保険に対して疑念を持ちながら接することが必要なのです。

 保険会社の言い分を真に受けて、あればイイな程度の特約に加入することは厳に慎まなければならないのです。


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 乗合代理店とは、数社の保険を扱う代理店のことで「保険見直し本舗」などのことです。

 これら代理店のメリットは、数社の保険を扱っていることから「中立公正な立場」で一番良い保険を勧めることができることであると言われています。

 しかし、その認識は大きな間違いです。なぜならば、商品によって代理店側が受け取る手数料が大きく異なるからです。

 そのため、手数料収入で生計を立てている代理店は、商品の良し悪しに関わらず、より多くの手数料をとれる商品を私達に勧めてくるのです。

 結局、「中立公正な立場」を謳う代理店も、やはり自社の利益が何よりも大事ですので、相談する際には、このような代理店の有する生態を把握した上で臨むことが大切です。

 なお、多くのFPについても、同様のことが言えますのでお気を付け下さい。

 次回は、信頼できない保険会社や代理店の代わりに信頼すべきものを紹介します。


 前回前々回の保険会社や代理店の利益至上主義ついての記事を参照された方は、私達が保険を選択するに当たって、保険会社や代理店のアドバイスを鵜呑みにすることは非常に危険であることを理解して下さったかと思います。

 しかし、私達は保険について詳しく理解していないため、どうしても保険会社や代理店のアドバイスに沿って契約せざるを得ないのが現状です。

 このような私達にとって不利な点を緩和・克服する方法は少ないですが、その方法は次回から紹介したいと思います。

 もっとも、どの方法を利用しても結局、最終判断するのは自身であることを忘れないで下さい。

 保険では、受取保険金額の設定やどの特約を付加するか決める際などに、あなたの価値観が問われます。

 契約が欲しいが為に行われる代理店の過度に不安を煽るような言動に惑わされないよう、また、ネットに溢れる情報に振り回されないよう、あなたが今まで培ってきた経験や入手した情報などを総動員し判断することこそ、保険の契約で一番大事なことなのです。

 何か今回は当然のことを書いてしまった感がありますが、次回からの「最良の保険と出会うには」は、タメになると思います。


 今回と次回で、最良の保険と出会う方法を提案したいと思います。

 まず、今回の方法は、複数の代理店で相談して、手数料収益を求める代理店の生態を逆に利用しようとするものです。

 第一のメリットとして、経営方針も扱える保険会社数も異なる複数の代理店で相談をしたほうが、各代理店の主張・アドバイスを比較することができる点、自分の価値観に合った代理店と出会い易い点が挙げられます。

 さらに、相談の際に他の代理店でも相談していることを隠さないことで、この方法は真価を発揮し、第二のメリットを得ることが出来ます。

 複数の代理店で相談していることを伝えることは、代理店間の競争を促すことに繋がります

 「他社に取られ手数料がゼロになるよりは…」と、手数料収入ありきの保険を勧められる可能性が低くなり、最も自分にマッチした保険を提案してもらえる可能性が高まるのです。

 また、契約したい保険プランが決まってから、まだ活動余力がある方、もっと良い保険があるのではないかと不安な方は、その保険プランを新たな代理店に持ち込み、こう言うとよいと思います。

 「これより良い保険はありますか。もっと良い保険を提示して下さったらあなたの店舗で契約します。」

 私の場合、幸か不幸か「そのプランを上回るものは見つかりませんでした。」と言われたので、安心感を得て契約することができました。

 さて、次回は、最良の保険と出会う方法その2です。


 この方法は、保険の知識を豊富に有するが、保険契約の代理業務を行わないため、手数料欲しさに保険を勧めて来ない者に相談する方法です。

 この方法のメリットは何と言っても、独立系FPなどの保険のプロから契約を前提としない相談を受けられることでしょう。

 デメリットも当然、有料であることです。料金体系も様々で、1時間当たり3千円~1万円程度でしょうか。また、1万円程度で保険が決まるまで、何度でも相談無料としている場合もあるようです。

 なお、注意点ですが、独立系FPを謳っていても、裏で保険会社と通じており、「○○保険に入れば、相談料は無料にしますよ。」と提案してくる名ばかり独立系FPなどもいるようですので注意が必要です。

 また、相談料を払ったもののウマが合わない場合に、相談料が無駄となりかねないこともデメリットと言えそうです。

 しかし、一生付き合うかもしれない保険だからこそ、真に公正・中立なFPに出会えた際のメリットは計り知れないでしょう。

 個人的に相談してみたいと思うのは、「生命保険のウラ側」の著者である後田亨氏(1時間1万円)、日本一の保険評論家と評された野中幸市氏(生命保険格付協会の理事長につき、かなり高そう)、野中氏所属の同協会(入会金1万円・年会費3,500円が必要)ですが、料金と今更感もあり、「相談してみたい」止まりです。


 医療費の月間上限は高額療養費によって一般的には「8万円」ですが、これがなんと「2万円」に拡充され、さらに、一般的には「1年半」の傷病手当金による休業補償期間が、これまたなんと「3年」に拡充されている人が居ます。

 これら上乗せ保障のことを「付加給付」と言います。付加給付の対象となる人は、主に「大企業勤務者」または「公務員」です。このような人には、現役時代の医療保険の必要性は大きく低下します。それでは、付加給付の一例を見てみましょう。

◆トヨタ自動車健康保険組合の場合
医療費の自己負担額上限:2万円/月
休業補償1:給料の80%
補償期間1:~2年半
休業補償2:給料の40%
補償期間2:2年半~3年
保険料(25年度短期掛金):給料の3%

◆テレビ朝日健康保険組合の場合
医療費の自己負担額上限:2万円/月
休業補償:給料の67%
補償期間:~2年
保険料(25年度短期掛金):給料の2.6%

◆地方職員共済組合の場合(道府県職員)
医療費の自己負担額上限:2万5千円/月
休業補償:給料の83%
補償期間:~2年
保険料(25年度短期掛金):給料の6%

◆(参考)一般的な高額療養費と傷病手当金
医療費の自己負担額上限:8万円/月
休業補償:給料の67%
補償期間:~1年半
保険料(25年度短期掛金):5%(協会けんぽ平均)


 このように手厚い保障が受けられるのですが、おそらく付加給付の認知度は低いです。ですから、この度、記事にしました。

 恥ずかしながら私も医療保険の検討をしてしばらくは、高額療養費制度止まりで、付加給付の存在なんて知りませんでした。保険相談店からは、医療保険が売れなくなってしまうからか、一度も付加給付の話なんて聞きませんでしたし。

 付加給付の有無によって、現役時代の医療保険の必要性は大きく変わります。医療保険の検討を始める前に、お勤めの職場に付加給付があるのか調べておく必要性は高いです。

 以下は、備忘的に記したものですが、もう少し知識を深めたい方はどうぞご覧下さい。

Q 「付加給付」とは何か。何に「付加」しているのか。

A 法令で定められた多くの人を対象にした「法定給付」の上乗せとして、特定の人にだけに「付加」されるから、「付加給付」と言われます。なお、法定給付とは、高額療養費で言えば「8万円」、傷病手当金で言えば「1年半にわたる給料67%補償」のことです。



Q 大企業・公務員だけズルいのではないか。

A まことに仰る通り。しかも大企業勤務者は、中小企業勤務者に比べて保険料(掛金)負担も低いですから格差が広がる一方です。

 中小企業勤務者が加入する「協会けんぽ」の場合、掛金は都道府県によって異なりますが、平成25年4月時点で概ね給料の5%を負担することになります。

 地方職員共済組合は、それよりも高く、同月時点で給料の6%を負担しますが、付加給付が充実しているので、別に構わないでしょう。「税金で食ってるくせに」という批判は、あると思いますが。

 一方のトヨタ自動車の場合は、なんと給料の3%しか負担せずに、こんな手厚い付加給付を受けることができるのです。テレ朝健保もまた然りですね。あぁ、羨ましい。

 ちなみにNHK健保もかなり優遇されていますね。平均給与が1041万円(国家公務員の1.6倍)もあることに加えて、健康保険料は給料の2%で済むのですから(2011.9.28参議院予算員会)。準公務員的な立場にしては優遇され過ぎな感がありますね。



Q 付加給付のある健康保険に加入している人はどの程度いるのか。

A 3000万人以上いそうです。

 各健康保険への加入者については、厚労省の資料によれば、自営業者が加入する国民健康保険に3900万人、中小企業勤務者の加入する協会けんぽに3500万人、大企業勤務者の加入する組合管掌健康保険に3000万人、公務員の加入する共済組合に900万人、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度に1400万人が加入しているとあります。

 このうち、公務員の共済組合は付加給付がないところも一部あるようですが、ほとんどの組合で付加給付があるでしょうから、まず公務員900万人については付加給付の対象者と言えます。

 次に、大企業勤務者の加入する組合管掌健康保険に3000万人についてですが、過去の政府答弁(H17.3.9参議院予算委員会)によれば7割の組合で付加給付が行われているようです。よって、単純計算で2100万人について付加給付がありそうです。

 しかしながら、多くの勤務者を抱える組合ほど付加給付を導入しているであろうことから、「組合の7割」と「被保険者の7割」をイコールで結んで考えると、かなり誤差があると思われるので、この部分に関しては2100万人を超えるでしょう。





 私は、行動経済学やら心理学の話が大好きだ。さすがに学術書を読むレベルではないが、一般読者向けのその手の本はよく読む。そんなある日、こんな本を読んだ。

 『なぜ、間違えたのか? 誰もがハマる52の思考の落とし穴』だ。タイトルのとおり、私たちの心理に潜む52個のワナを述べたものだ。

 そこで、同書と保険を結び付け、これらのワナが保険販売の中でどのように活用されているのか、私の解釈の下、また個人的な備忘録として記述していこうと思う。


◆お返しの法則のワナ

 今回ご紹介するワナは『お返しの法則のワナ』だ。

 このワナは、ギブアンドテイクの関係を暗に強制させるワナだ。身近な例でいえば、食事をおごる行為が挙げられる。

 友人におごってもらったら、次の機会にはおごってあげようという気持ちが生まれる。

 上司におごってもらったら、恐縮している私に上司はこう言う。『昔は俺も上司におごってもらったんだ。君も偉くなったら部下を大切にな。』

 ビジネスに目を向ければ、素晴らしい好例が見つかる。そう、『接待』だ。接待は、お得意様にあらん限りのおもてなしをして恩を売り、自社製品を買ってもらう行為だ。


◆保険の世界での活用例

 では、このワナが保険の世界でどのように活用されているのだろうか。

 このワナが分かりやすく活用されているのは、大手保険会社だ。私が体験した事例を紹介しよう。

 あなたは、大手保険会社の販売員と保険相談したことはあるだろうか。私の職場では大手漢字生保の販売員が各部署を足繁く回っている。

 彼女らのプレゼント攻勢は凄まじい。手始めに、自社の保険加入者か否かに関わらず、全員にお菓子を配ることから始まる。

 そして、ここからが本番だ。お菓子と引き換えに現在の保険加入状況を聞くのだ。

 私は、面倒だと思いながらも、『加入状況ぐらい教えていいじゃないか。減るものでもないし、お菓子も貰ったし。』と思い、応じてしまう。

 それからは、彼女のペースだ。

 『医療保険やガン保険にも加入しないと、出費が痛いですよ。良い保険があるので、一度見て下さい。』

 彼女と会話を続けるうち、私は『少しだけなら』と保険相談に応じてしまう。(お菓子を貰ったばかりにこんなことに・・・)

 後日、相談のために会うと、またもやプレゼント攻勢が行われる。キャラクターもののボールペンにクリアファイル、果てはトランプまでくれるじゃないか。

 さらに驚くべきことに、前回提供した私の生年月日から、占星術だか何だかの鑑定結果まで添えられている。

 これは、もはやプチ接待だ。この状態で保険の提案を受けたなら、今の私なら一蹴するだけの自信があるが、数年前の保険素人の私ならば、加入を前向きに検討してもおかしくはない。

 だって、このプランは、日本を代表する保険会社の社員が、私のために数日間悩んで、私のためだけに提案してくれたものだ。気に入らなければ後日研究して乗り換えればいい。それに、色々貰ったのに、お返ししないのは気持ちが悪い。

 まぁ、このように考えた時点で、『お返しの法則のワナ』だけでなく、他の様々なワナにもハマっているわけだが、それはまた別の話だ。

 そして、これこそが保険の世界における『お返しの法則のワナ』なのだ。

 保険の相談をするだけで貰える商品券や粗品、保険会社のマスコットの玩具なんかも、このワナに関係する。


◆ワナの回避方法

 他のワナもそうだが、このワナには普通気付かない。簡単に気付けないからこそワナなのだ。

 心が、奥底のほうで、ギブアンドテイクの関係を要求していることになど気付けない。

 でも、この話を読んだあなたは違う。このワナに気付くための経験を得た。

 保険会社からプレゼントを貰ったら、昔から聞かされている一文を思い出すだろう。

 『タダより高いものはない』って。



参考書籍:『なぜ、間違えたのか? 誰もがハマる52の思考の落とし穴』(著:ロルフ・ドベリ、訳:中村智子、2013年サンマーク出版)



 今回ご紹介するワナは『ハロー効果のワナ』と『権威のワナ』だ。

◆ハロー効果のワナ

 まずは『ハロー効果のワナ』から始めよう。さて、次の人物像を聞いて、どのような特徴を思い浮かべるだろうか。

 『アメリカ人の父と日本人の母を持つハーフの男性』

 この人物像から、『イケメン』、『英語が得意』、『長身』なんてイメージが浮かんだあなたはワナにハマっている。

 彼は、いや、ウエンツ瑛士は、イケメンだが英語は苦手で長身ではない。

 これは『アメリカ人の父』という言葉が、天使の輪っか(=ハロー)の役割を果たし、ハローに注目するばかりに他の要素を正常に評価できなくなったためだ。これを『ハロー効果』という。

 だから、『東大卒』なら社会でも優秀だと思うし、『去勢されている』犬はおとなしいと思うし、『売上1位』の保険は魅力的に映る。


◆権威のワナ

 次に、『権威のワナ』である。このワナは、権威ある者からの指示には、たとえ指示内容が非人道的で不信を抱いたとしても従ってしまうワナである。

 つまりあなたは、権威からの指示さえあれば、私に対して激烈な電撃すら与えてしまう冷酷な一面を秘めているということだ。これは『ミルグラム実験』として知られる。

 また、このワナは重大な問いを私たちに投げかける。戦争犯罪人や組織的犯罪者といえども単に上司の指示に真面目に従っていたに過ぎない普通の人なのではないか、厳罰は妥当なのか、と。だが、ここでは深追いしない。


◆保険の世界での活用例

 さて、『ハロー効果のワナ』と『権威のワナ』は保険の世界でどのように活用されているのだろうか。

 保険販売員の名刺を見ると必ずと言っていいほど登場する肩書がある。それが『FP』、つまりファイナンシャルプランナーだ。

 私たちは『FP』という文字を見た瞬間、『ハロー効果のワナ』にハマる。

 『FPだって? 保険のプロじゃないか。良い担当者に当たったな。』

 しかし、FPの分野は広いので保険に精通しているかは分からない。保険に対して多様な考えを持っているかも分からない。あなたの加入したい保険は専門外かも知れない。

 そして、実際に保険相談が始まると、あなたは『権威のワナ』にハマる。

 『さすがFP。色々知ってるなぁ。医療保険の考え方がよく分からなかったけど、FPが言うならそういうことなんだろうな。』

 しかし、どうしてFPの考え方が正しいと言えるだろうか。FPの説明に死角はないのだろうか。

 このように名刺に『FP』という肩書があるだけで、あなたは保険販売員のことを保険に精通する人格者であると過大評価し、保険販売員の言葉を無条件に受け入れる可能性があるのだ。

 保険を売る側も『FP』の魔力を知ってか知らずか、FPの取得を推進している。『ほけんの窓口』の求人情報には、こう書かれている。

※FP資格をお持ちでない場合、入社3年以内に取得していただきます。


 そんな『FP』の肩書だけでも厄介なのに、『店長』なんて肩書まで登場すれば、もうお手上げだ。おとなしく白旗を揚げよう。

 そうだ。保険販売店さん、良い案を思いつきましたよ。『店長代行』や『店長代理』、『副店長』を量産しましょうよ、そこらの二大政党のように。権威付けでワナにハメましょう。


◆ワナの回避方法

 これらのワナの回避自体は簡単だ。『FP』なんてただの飾りだ、と思えば解決だ。だが、解決したところで得られるものは何もない。

 このワナから学ぶべきことは、自分で考えることの重要性だ。相手の意見を鵜呑みにせずに、常に猜疑心を働かせ、反論の余地はないか、他の選択肢はないか、そもそもその意見は妥当なのか等々を自分の頭で考えるのだ。

 さて、これで記事は終了だ。そして、私は期待している。あなたがこの記事を鵜呑みにしていないことを。



参考書籍:『なぜ、間違えたのか? 誰もがハマる52の思考の落とし穴』(著:ロルフ・ドベリ、訳:中村智子、2013年サンマーク出版)



 保険の相談に行くと、とても感じの良い人が相談に乗ってくれる。でもなぜ、彼ら彼女らは感じが良いのだろうか。

 客商売は印象が悪いとダメだから? きっとそうだろう。じゃあつまり、印象が良いほど客商売は上手くいくということだ。

 でも、好印象だが自分の成績に結びつく保険ばかり売る人と、多少横柄だが素晴らしい保険を提案してくれる人なら、横柄な人のほうが私たちの利益に適う。

 印象が良いことは、恋人選びの重要な要素かもしれないが、保険選びの重要な要素ではない。

 しかし、客商売における好印象は破壊力抜群の武器である。そんな好印象に潜むワナが、今回ご紹介する『あなたが好きのワナ』だ。


◆あなたが好きのワナ

 このワナは、他人から好意を抱かれると、その人を好きになってしまうワナだ。あなたが営業マンなら利用しているであろう。意図しているかどうかは別として。

 このワナが活用されている場所はすぐに思い浮かぶ。これ程に露骨な場所は他にない。キャバクラやホストクラブだ。

 キャバクラでは、どんな男性もモテモテだ。男はキャバ嬢の好意に応え、キャバ嬢にお酒を注文するし、お気に入りのキャバ嬢を指名してしまう。

 また、学生時代にこんな経験はないだろうか。告白してフラれたものの、後日友人から『告白された日から、あなたのことが気になっているらしいよ』という耳よりな情報を聞き、再アタックした経験はないだろうか。

 あるなら、あなたと私は同士だ。『あなたが好きのワナ』に敬意を表しよう。ないなら、再アタックを試みなかったことを悔やもう。フラれた経験がないモテる御仁は、口を挟まないでもらおう。

 話は変わるが、国際的NGOの『世界自然保護基金』のロゴマークを知っているだろうか。ロゴマークにはパンダが採用されいる。

 なぜ、パンダなのだろうか。樹や魚、ハエ、カタツムリだって、絶滅に瀕する種が存在する。よし、それなら、パンダの代わりにハエを掲げよう!!

 しかし、私たちは愛嬌をふりまくパンダには好意を抱くが、ハエに好意は抱かない。パンダになら寄付をしてもよいが、ハエには抵抗を感じる。つまり、そういうことだ。


◆保険の世界での活用例

 さて、このワナを保険の世界ではどうやって活用しているのだろうか。

 そう言えば保険会社にもパンダがいる。パンダどころか、アヒルにヒツジ、ライオン、タヌキもいる。あぁ、なんてことだ。彼らは可愛いだけのマスコットではなかった。

 次に、仮定の話をしよう。あなたは、保険に加入したい保険素人だ。相談相手は2人から選べる。1人は名も知らぬ保険販売員、もう1人は保険代理店に勤める親友だ。

 では、どちらに相談するだろうか。

 きっとあなたは親友を選んだハズだ。だって、信頼している親友が粗悪な商品を勧めるハズはないのだから。

 仮定の話は終わりだ。これで分かったことがある。私が保険販売員なら、あなたの『親友』になりたい。『親友』になれば、あなたは私の勧めた保険に易々と加入してくれる。

 そして、名も知らぬ保険販売員があなたの親友になるには、『あなたが好きのワナ』にハメるのが効果的だ。

 保険販売員は、資産状況や家族構成、年収、子どもの進路といった本当の親友にも話していない情報まで入手可能だ。

 これだけの情報があれば、趣味、資産運用、子どもの習い事と話題は尽きない。それに親身になって相談にも乗る。これで二人の仲は急速に縮まる。いや、縮まざるを得ない。『お返しの法則のワナ』との相乗効果を狙ったプレゼント攻撃も有効だ。


◆ワナの回避方法

 結局のところ、『あなたが好きのワナ』は、営業マン的には『客の信頼を得たいなら、客を好きになればいい』ということだ。

 一方、私たち的には『利害が完璧に一致しない相手がニコニコ近寄って来たら警戒しろ』ということだ。

 昔も今もあなたが出会う営業マンは『良い人』ばかりだろう。だって、彼らはあなたの信頼が欲しい。だから、あなたのことが好きだ。好きな人には誰しも『良い人』を演じる、これは人類普遍の原則だ。

 しかし、いくら『良い人』に見えても、相手が根っからの聖人なのか、聖人の格好をした悪魔なのかは分からない。利害関係のある立場から始まった相手を、そう簡単に信じてはいけない。


参考書籍:『なぜ、間違えたのか? 誰もがハマる52の思考の落とし穴』(著:ロルフ・ドベリ、訳:中村智子、2013年サンマーク出版)


 『契約数1位』の保険は偉大だ。何とも言い難い魅力を感じる。『保険なんてよく分からないから『契約数1位』の保険に契約すれば良いだろう』と考えても何ら不思議ではない。

 でも契約するのは、ちょっと待って欲しい。この記事を読んでからでも遅くはない。

 読み終わっても、相変わらず『保険なんてよく分からない』が、『契約数1位』の保険を安易に選んではならないことはよく分かるだろう。今回ご紹介するのは『社会的証明のワナ』だ。


◆社会的証明のワナ

 このワナは、ブームやバブルを形成するワナだ。『ハーディング効果(群衆効果)』とも言い、周りの動きに釣られて自分も周りと同じ行動を取ってしまう。

 そう聞いても、あなたは納得しないかもしれない。『ワタシは、ワタシの自由意思に従って行動している』と。

 でも、こんな経験はないだろうか。赤信号だけど周りが渡るから自分も渡った。みんなが『アナ雪』や『タイタニック』を観るから観に行く。急騰している株に乗っかる。人生初の選挙投票でよく分からないから与党に投票する。周りがスマホだからスマホを買う。

 どうだろう? あなたは周りの動きに流されていないだろうか。

 それに、周りの動きに釣られてしまうことは、実験でも明らかになっている。それが『アッシュの実験』だ。

 ここから、あなたは『アッシュの実験』の被験者だ。あなたは、問題を解くために教室に集められた。周りには、あなたと同じように集められた人々がおとなしく座っている。

 そこへ教師が来た。教師は教卓に着くなり黒板に問題を書き、こう言う。『この問題の答えは? 1列目から順番に答えよ。全員が答えたら正解を言おう。』

 最終解答者のあなたは心の中で笑う。『おいおい、こんな問題小学生でも解けるぞ』

 しかし、事態は急変する。周りの奴等が、あなたの想定する解答とは違う解答を繰り返す。しかも全員一致の解答だ。

 あなたは困惑する。自分の答えに自信はある。しかし、周りの全員がバカな可能性より、自分の思い違いという可能性のほうが高いのも事実だ。もうすぐあなたの番だ。さぁ、困惑と緊張の中、あなたの出した答えは?

 ここで被験者役を終わろう。実のところ、あなた以外の解答者はサクラだ。サクラは誤答を答える。そして、サクラに釣られて誤答を答える被験者は3割以上にも上る。正答を答えた被験者もそれはもう必死の様相だ。

 このような正否の明らかな簡単な問題ですら3割が間違えるということは、新聞を取るのか、『アナ雪』を観るのかという正否の明らかでない行為について、周りの動きに釣られる可能性は十分高いだろう。

 また、別の実験でも、人気が視覚化されているとそれに釣られることが明らかになっている。ランキング化されていたり、販売数が表示されていると、視覚化されていない場合よりも私たちはその商品に食い付く。つまり視覚化されると過大評価してしまうのだ。

 だから、極少数のランキング上位の商品は更にバカ売れし、多数のランキング外商品は更に売れなくなるというスパイラルが起こる。

 さて、このワナが孕む問題とは何だろうか。まず挙げられるのは、人気の視覚化によって、ランキング下位の商品が正当な評価を受けられないことだ。上位が過大評価されるせいで、下位は過小評価されてしまう。

 例えば、あなたがワナにハマって人気1位の映画を観たとしたら、2位以下の映画を観る機会はTSUTAYAで再会するまで失われるだろう。あなたを虜にする映画が2位以下にあったとしても、もう劇場で観ることはできないし、制作会社もレンタルの利益しか上げられない。これは大きな損失だ。

 さて次に、このワナが孕む最大の問題を考えてみよう。それは、集団の意見が間違っていた場合だ。みんなの意見が正しいとは限らない。太平洋戦争に臨んだ日本、昭和末期から始まったバブル景気、魔法の商品と思われたサブプライムローンと住宅担保ローン証券、このどれもが大きな爪痕を残している。

 
◆保険の世界での活用例

 さて、保険の世界で『社会的証明のワナ』はどのように活用されているのだろうか。

 まず、保険のランキング化が挙げられる。雑誌やネットには様々なランキングが載っている。『契約数1位』、『満足度1位』、『FPが選んだ保険1位』、『資料請求1位』なんて好例だ。

 中でも『契約数1位』の魔力は無視できない。なぜって、『契約数1位』ってことは、先人達が悩みに悩んで悩み抜いた末に出した結論の集大成であって、まさにキング・オブ・保険だからだ。

 だから、とりあえず『契約数1位』の保険に加入しておけば、あなたに代わって先人達が悩んでくれたから保険選びに費やす時間を節約できるし、失敗しないような気がする。

 その一方で、先人達の多くが『社会的証明のワナ』などにハマった可能性は考えないし、あなたに完璧にマッチした素晴らしい保険がランキング外にある可能性も考えない。

 また、『1位の契約数』よりも『2位以下の契約合計数』のほうが多くて、むしろ先人達の過半数は『1位以外の保険』を選んだ可能性だって考えない。

 そんな危うい『契約数1位』の保険を安易に選んで、何十万円も何百万円も注ぎこんでしまっては目も当てられない。

 ところで、『契約数1位』ではない保険を売りたい販売員も安心して欲しい。『契約数1位』の魔力にあやかって、こう言えばいいのだ。

 『最近契約される方が多いんですよ』 、 『みなさんこれを選びますね』

 今までに何度聞いたセリフだろうか。私たちに確認する手段がない魔法の言葉だ。これを聞くと、先人達に背中を押された気がする。

 保険会社のPRも『社会的証明のワナ』のうまく活用している。こんなフレーズを見聞きした覚えはないだろうか。

 『契約者100万人突破!!』 、 『販売3か月で契約者5万人突破!!』

 これらのフレーズも形を変えた『契約数1位』だ。なぜなら、100万人もの先人達が、あるいはたった3か月で5万人もの先人達が選び抜いた保険だとアピールできるからだ。

 しかし、これもよく考えれば可笑しなことに気付く。加入者は100万人かも知れないが、加入検討者が500万人居たら、この保険は8割の人にダメ保険の烙印を押されている。

 
◆ワナの回避方法

 このワナの回避は簡単だ。『他人の意見は関係ない』と気に留めて、日々自分で考え直して行動すればいい。

 でも、実はワナにハマったほうがよい場面は多い。例えば、あなたが銀行に入ろうとしたところ、中から大勢の人が飛び出してきた場合だ。普通に考えて銀行強盗や火災が起きている。

 こんなときはワナにハマるべきだ。ワナにハマるまいとして、入店するか逃げるかを考えている場合ではない。

 それに、ワナにハマることは、考える作業を大幅に短縮できる。複雑な社会で限りある人生を歩むためには、ハマらざるを得ない。

 結局のところ、あなたは今までどおり生きていけばいい。今までどおり、多くの小さな問題ではワナにハマって時間を節約し、少しの大きな問題ではワナの存在に留意しつつ真剣に悩めばいい。

 だから、美味しいレストランに行きたいなら食べログやミシュランに頼ればいいし、保険選びや住宅選びでは様々な意見を参考にして熟考のうえ結論を出せばいい。

 そして願わくは、集団が誤った道を進みそうなときは大声で止めて欲しい。あなたの良識で世界は変わる。



参考書籍:『なぜ、間違えたのか? 誰もがハマる52の思考の落とし穴』(著:ロルフ・ドベリ、訳:中村智子、2013年サンマーク出版)、『偶然の科学』(著:ダンカン・ワッツ、訳:青木創、2012年早川書房)