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 保険相談に行くと、とにかく不安を煽られる。『入院って負担が大きいんですよ、このパンフの事例を見ても・・・。だから備えておかないと。』、『ガン保険って大事ですよ、私の親戚に・・・。だから備えておかないと。』なんて具合だ。

 なぜ不安を煽るのだろうか。その目的は、入院やガンの恐怖を私たちに『イメージ』させるためだ。

 『イメージ』は重要だ。イメージは、統計やデータを超越する。あなたは、そんな『イメージのワナ』にハマってはいないだろうか。


◆イメージのワナ

 『イメージのワナ』は、人間はイメージし易いものを選好してしまうというワナだ。

 このワナはただ単純にイメージし易ければ選好しまう。だから、たとえ特異な事例であっても、それがイメージし易ければその事例が普遍的なものであるかのように錯覚する。

 例えば、アメリカ同時多発テロのような悲惨な航空機事故を見れば、それが特異な事例であるにも関わらず、事故の記憶が薄れるまで飛行機を危険な乗り物とみなす。『今年の旅行は飛行機を使わないで済む範囲にしようかな』といった具合だ。

 でも、あなたは、飛行機や車、新幹線の死亡事故率を調べない。ここ10年で国内死亡事故がゼロ件の大型旅客機を選ばずに、自動車に乗りたがる。10年間で2万人近くが死亡した自動車に。

 また、東日本大震災の後に、地震保険の加入率が大幅アップしたことも好例だ。東日本大震災の前と後で、大地震の発生確率が上昇したわけではない。それなのに、地震保険の加入率がアップした。

 これは、先の震災が我々の抱く地震のイメージを一回り、いや二回りは強化したからだ。大地震を身近なリスクに昇華した。

 他にも、このワナのせいで色々なものが歪んで見える。政治家はみんな悪徳代議士に見えるし、中国製品はみんな粗悪だと思う。偶然当たった占い師を本物だと思うし、写真1枚で幽霊やUFOが存在するかもしれないと思う。

 かくいう私も『イメージのワナ』にハマっていたことを最近実感した。

 男性にとって、いや少なくとも私にとって、人工妊娠中絶はイメージし難いものだ。イメージし難いからこそ、中絶の件数はずっと少ないと思っていた。具体的には、自殺者数よりは少ないと思っていた。

 しかし、事実は違った。平成24年度の中絶件数は約20万件で、同年の死因2位である『心疾患』(男女計)に匹敵するほどだったのだ。ちなみに『自殺』は7位で約3万人だ。

 私は後悔した。今まで『中絶』問題について考えたことがなかったからだ。命の観点からは、『自殺』問題よりも『中絶』問題のほうが7倍重い。7倍考えるべきだし、自殺対策の7倍の国家予算が付くべきだと思う。何せ、中絶理由のほとんどが強姦や胎児異常、母体保護ではなく経済的理由だから。

 『自殺』はセンセーショナルに報道される。『俳優Aが自殺』、『容疑者Bが自殺』、『年間自殺者数、最多を更新』、『人身事故で何々線が大幅遅れ』などなど。でも『中絶』は違う。報道なんて滅多にない。

 私は、イメージしやすい『自殺』にばかり注目し、イメージし難い『中絶』を軽んじていた。このような例が自分の中にまだまだ潜んでいるかと思うと、悲しくなる。イメージは信用するに値しないのだと、私は確信した。


◆保険の世界での活用例

 さて、保険の世界で『イメージのワナ』はどのように活用されているだろうか。保険販売員になったつもりで考えてみよう。

 まず、このワナに客をハメるためには、保険金を受け取るというイメージし難い状況を、イメージし易い状況に変えてやればいい。さぁ、何が出来るだろうか。

 例えば、こんな情報をパンフに載せればいい。がん保険なら『2人に1人はガンになる』、医療保険なら『給付金受取例 -事故で骨折、20日間入院』なんて具合だ。

 これでガンも入院もグッとイメージし易くなる。間違っても『糸球体疾患で20日間入院』なんて例は挙げてはならないし、パンフに載るハズもない。客がイメージ出来やしない。

 また、パンフを見た客が昔の記憶を思い出したら万々歳だ。『そういえば親戚のおじさんがガンだったっけ』、『そういえば友達が事故って何週間も入院したことがあったっけ』、これでガンも入院も身近なリスクだ。

 保険販売員の仕事はここからだ。パンフを見せた後に、客のイメージを更に後押ししてやればいい。誰だって、親戚や知人の1人や2人はガンや入院を経験している。

 保険販売員はそのときのエピソードを語ればいい。脚色したって創作したって客には分かりやしない。素晴らしい保険を世に広めるためには嘘も方便だ。

 ガンがどれだけ恐ろしいか、入院がどれだけ恐ろしいかのイメージを植え付ければいい。本当は、上皮内ガンなどの軽いガンや、1週間程度の入院に保険なんぞは必要ないが、そんな話をする必要はない。

 全てのガンは恐ろしい、全ての入院は恐ろしい、全ての政治家は悪徳代議士、これでいい。


◆ワナの回避方法

 『イメージのワナ』を避けるのは簡単だ。イメージは信用に値しない。イメージは無視してデータを信用すればいい。

 例えば、あなたの父方の祖父母の両方がガン経験者だからってガン保険に加入するのは早計だ。2人に1人はガンになるのだから何ら驚くに値しない。

 更に母方の祖父母も加えて4人がガン経験者でも驚くに値しない。なぜなら16分の1の確率で起きることだからだ。コイン投げで4回連続の『表』が出ても大騒ぎする人はいない。

 4回連続の『表』が出たとしても、5回目に『表』が出る確率は2分の1だ。あなたがガンになる確率もこれと同じだ。あなたの祖父母全員がガンでも、あなたがガンになる確率は結局2分の1なのだ。

 なぜなら、『遺伝するガン』は全体のたった5%以下と言われているからだ。親族のガンが遺伝性の高い部位に集中していたりしない限り、『自分はがん家系なんだ』と恐れおののく必要はない。

 むしろ、がんになる要因としては食生活や肥満、喫煙のほうが遥かに関係大なのだから、遺伝子を気にする以前にそちらを気にするべきなのだ。

 このように基本的に保険選びにおいて、個別の事例は必要ない。保険販売員や自分の親戚に、ガン患者が居ようが、入院患者が居ようが、関係ないのだ。イメージに惑わされてはいけない。

 私たちに必要な情報は、統計的な情報だ。治療費や入院期間、減収割合にその期間、罹患リスクの割合に分布、そして自らが保障すべきと考える範囲を良好な費用対効果で備えることができる保険があるかないか。ただ、それだけだ。



参考書籍:『なぜ、間違えたのか? 誰もがハマる52の思考の落とし穴』(著:ロルフ・ドベリ、訳:中村智子、2013年サンマーク出版)
参考:中絶数について「平成24年度衛生行政報告例の概況(厚労省)」、死因について「平成24年人口動態統計(厚労省)」、自動車事故死者数について「平成25年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取り締まり状況について(警察庁)」、航空機事故死者数について「航空事故の統計-発生年別事故件数(2014年8月29日現在)(運輸安全委員会)」、中絶理由について「wikipedia ― 人工妊娠中絶 ― 中絶理由」、がんの要因等について「国立がん研究センター「人のがんにかかわる要因」」


 昨今、日銀が2%のインフレを目指して積極的な金融緩和を行っています。インフレとは、物価が上がる(=貨幣価値が下がる)現象で、保険との関係も大変深く、インフレリスクを考慮せずに保険に加入すると痛い目に遭うかもしれません。


◆インフレがないと魅力的な「リリーフダブル」

 オリックス生命が販売するリリーフダブルは、終身死亡保障と終身医療保障がパッケージになった魅力的な商品です。

 30歳男性が60歳払済で契約した場合、月々5,281円の保険料で、総計190万円を支払えば、死亡保障250万円と医療保障が終身保障されます。

 総支払保険料は190万円です。一方、死亡保障は250万円です。死亡保障だけでも損しない設計なのに、医療保障まで付いてきます。最低でも60万円の儲けです。契約しない理由はありません。


◆でも、2%のインフレが続くと。。。

 リリーフダブルを売る側ならば上述の営業トークを言い放てば良いだけですが、買う側は一旦立ち止まらねばなりません。インフレに弱いのではないか、と。

 30歳男性の平均余命は51年です。ですので、この男性がリリーフダブルに加入して81歳で亡くなったと仮定して考えてみましょう。年間のインフレ率は2%です。

 するとどうでしょうか。名目価値250万円の死亡保障は、毎年2%ずつ実質的な価値を失っていき、51年後には実質価値だと、わずか89万円になってしまうのです。

 当然、支払保険料もインフレの影響を受けますので、名目価値で190万円であった総支払保険料は、実質価値で144万円まで下がります。

 従って、リリーフダブルを実質価値で捉え直すと、総支払保険料144万円に対して、死亡保障89万円ということになるのです。最低60万円の儲け、というセールストークは吹き飛びました。

 入院保障についても同じことが言えます。入院保障の名目価値は永遠に日額5,000円ですが、入院リスクの高まる80歳のときの実質価値は日額1,800円でしかありません。

 つい先程まで大変魅力的に見えたリリーフダブルも、インフレの前には輝きを失ってしまいます。


◆保険選びでもインフレリスクを考慮しよう

 このように終身保険は本質的にインフレリスクと隣り合わせなのですが、皆様のコメントを拝見する限り、多くの方はインフレリスクをあまり考慮されていないように感じます。

 リリーフダブルやメディカルkitR、一部の終身死亡保険や長期平準定期保険などは、積立部分の運用利率が固定であったり、利差配当のない商品なので、インフレに対して脆弱な商品です。また、医療保険やがん保険も定額保障なので、インフレに弱い商品です。

 一方、貯蓄型保険であっても利率が変動するものや、利差配当のあるもの、外貨建のものであればインフレにも多少なり対抗可能です。また、短期の定期保険も、見直しが容易で柔軟な対応が可能なので、インフレに強い商品と言えるでしょう。

 日本経済は、バブル崩壊以降ずっと低インフレからデフレ状態でした。そのような環境を過ごしてきた20代から40代の人にとってインフレ経済は想像し難いものです。

 しかし、インフレターゲットに日銀が本腰を入れた以上、アメリカや欧州経済のように、今後はインフレリスクも考慮した保険選びが必要だと思います。

 個人的な考えを特に述べさせていただくと、現在のようなデフレ・低インフレに伴う低金利下において貯蓄型保険、特に無配当で固定利率のものに長期加入することに魅力は感じません。

 また、終身医療保険や終身ガン保険に関しては、高リスクな高齢期を保障する仕組み自体にそもそも否定的ですし、加えてインフレに弱いことも踏まえると、あまり魅力は感じません。

 従って、やはり保険の基本は10年や20年程度の定期型保険であって、手厚い保障が必要な子育て期間などに限って利用するのが最もリスクバランスに優れる使い易い商品なのではないかと思うところです。


参考資料:平成25年簡易生命表(男)(厚労省)


 終身死亡保険や年金保険、養老保険といった貯蓄型保険の検討に当たって、最も重視すべきは返戻率でしょう。

 返戻率は、加入契約時点の市場金利に大きく左右されます。

 例えば、終身死亡保障200万円を買うのに必要な保険料は、平成28年に加入した30歳男性で177万円です。一方、平成25年に加入した50歳男性で147万円です。

 驚くべき事実です。加入年齢が30歳か50歳かということなんかより、たかだか3年程の金利変化のほうが遥かに重要なのですから。

 それなのに、保険会社は過去の保険料を教えてはくれません。今が加入時なのか否かは私達加入者が判断しなければならないのにも関わらず、です。判断材料すら提供してくれないとは最悪です。

 仕方がないので、今が加入時なのか否かの判断材料を保険会社の昔の「お知らせ」から拾い集めました。


◆保険会社は、保険料と返戻率の歴史的推移を示せ

 保険会社は加入時期によって返戻率がどれほど変わるのか過去の情報を明らかにしません。そんな投資商品おかしいでしょう。過去の国債金利や株価収益率は誰でもアクセスできます。

 保険会社は「銀行に預けておくより有利ですよ」と言います。そんなことは聞いていないのです。いつ加入しても預貯金金利より有利なのですから、無意味な情報です。

 「預貯金より国債のほうがいいよ」と言われているのと同じです。そんなことは周知の事実であり、問題の所在は今が加入時なのかどうかです。

 貯蓄型保険の検討に当たって私達に必要な情報は、「金利見直し前後の保険料と返戻率の歴史的推移」です。

 この情報さえあれば「今は割に合わないな」、「もう少し待ってみるか」といった判断を自信をもって下せるのです。

 仮に今、3年前より返戻率が30%ダウンしているなら、3年後に30%アップしている可能性だってあるのです。

 同じだけの保障が30%も安く買えるなら、私は3年でも10年でも待ちます。30%も安くなるなら、加齢に伴う保険料増加なんて気になりません。解約し難く、当初の金利を超長期間にわたって背負う利殖目的の金融商品にあっては、加入時期が最も重要です。

 それなのに、保険会社が必要な情報、つまり「金利見直し前後の保険料と返戻率の歴史的推移」を示していないせいで、私達は3年前の返戻率と比較することも叶わず、今後金利がどれほど上向くか予想しても過去の保険料が分からないために右往左往し、挙句ただただ預貯金より有利かどうか比べるばかりなのです。


◆保険料・返戻率推移を自力で探ろう

 保険会社は、金利や死亡率の変化を受けて保険料を度々改定しています。

 多くの会社では改定のたびにホームページに「お知らせ」を掲載して、どれだけ値上げ・値下げするのか公開します。

 しかし、残念ながら改定履歴を一覧で掲載するような良心的な会社は見当たりません。仕方ないので「お知らせ」を集めて繋げるしかありません。

 「お知らせ」収集を始めると、また壁にぶつかります。「お知らせ」の条件が年によって異なるのです。

 ある年は30歳男性の60歳払済のケースで保険料がどれだけ改定されるか公開しておきながら、またある年は40歳男性の終身払ケースで公開する、こんな風に比較困難な状態で「お知らせ」する会社ばかりなのです。

 それでも、同一条件で「お知らせ」を出している良心的な会社はありました。諦めてはなりませんね。そこで、私が拾い集めて繋げた情報を公開します。


◆月払終身死亡保険の保険料推移

保険会社:アフラック
商品名:未来の自分が決める保険 WAYS
保険料払込期間:60歳払込満了
保障内容:死亡時200万円
総払込保険料推移:以下のとおり

【30歳男性】
 H25. 3 129万円(予定利率1.85%)
 H25. 4 152万円(1.25%)
 H27. 4 132万円(1.4%)
 H28.11 177万円(0.65%)

【40歳男性】
 H25. 3 139万円(1.85%)
 H25. 4 161万円(1.25%)
 H27. 4 142万円(1.4%)
 H28.11 200万円(0.65%)

【50歳男性】
 H25. 3 147万円(1.85%)
 H25. 4 167万円(1.25%)
 H28.11 211万円(0.65%)


 同じ保障を買うのに、加入時期によってこんなにも支払う保険料が異なるのです。

 超低金利なH28.11に加入した30歳男性よりも、H25.3に加入した30歳男性のほうが48万円もお得に200万円の保障が買えるのです。

 しかし、もっと注目すべき箇所があります。記事冒頭で紹介したように、超低金利なH28.11に加入した30歳男性よりも、H25.3に加入した50歳男性のほうが30万円もお得なのです。

 終身型の貯蓄型保険にあっては、加入年齢が30歳か50歳かということなんかより、たかだか3年半の金利変化のほうが遥かに重要なのです。

 このことから導き出される結論は明らかです。

 昨今の超低金利下に貯蓄型保険に加入する意義はない、そんなところでしょう。もっとも、「今後半世紀ほどは今の金利を超えることはない」と考える人がもしもいるのであれば、加入時は今です。

 さて、現在の30歳男性が取るべき勝率の高い戦略とは何でしょうか。

 それは、マイナス金利政策という非常事態の最中に終身死亡保険に加入するよりは、貯蓄型保険への加入自体を我慢するか、定期保険に10年でも加入して金利が上向くのを虎視眈々と伺う戦略でしょう。少なくとも私はそう思います。

 なおWAYSについては、H25.3とH27.4の保険料について、予定利率の差のわりには保険料に差がないので、保障内容面での改悪(または加入時告知を大変厳しくして想定死亡率を引き下げたり、社員の給料を減らして事務コストを劇的に削減したり)があったものと推察されます。


◆一時払終身生命保険の保険料・返戻率推移

保険会社:日本生命
商品名:一時払終身保険
加入者:50歳男性
保障期間:終身
保障内容:死亡時に500万円
一時払保険料推移:以下のとおり
 H25. 3 366万円(返戻率137%、予定利率1.4%)
 H25. 4 408万円(123%、1.0%)
 H27. 2 414万円(121%、0.95%)
 H27. 4 425万円(118%、0.85%)
 H27. 7 437万円(114%、0.75%)
 H28. 4 469万円(107%、0.5%)
 H28.10 496万円(101%、0.25%)
備考:少なくともH20.8月~H25.3まで予定利率1.4%。

 次は一時払保険ですね。やはり保障期間が終身にわたるような保険は、加入時点の金利状況で支払う保険料が大きく変わります。

 この推移を見たら、H28に加入するという判断はおよそ正当化できません。

 なお、ここでいう「返戻率」は「死亡保障/総払込保険料」のことであって、解約返戻金の返戻率ではありません。


◆一時払養老保険の保険料・返戻率推移

保険会社:日本生命
商品名:養老保険EX(H24.7から養老保険)
加入者:50歳男性
保障期間:10年満期
保障内容:死亡か満期時に500万円
一時払保険料推移:以下のとおり
 H20. 8 462万円(返戻率108%、予定利率1.3%)
 H21. 1 466万円(107%、1.2%)
 H21. 2 471万円(106%、1.1%)
 H22. 8 476万円(105%、1.0%)
 H22. 9 480万円(104%、0.9%)
 H22.11 489万円(102%、0.7%)
 H23. 4 471万円(106%、1.1%)
 H23. 7 476万円(105%、1.0%)
 H23.10 482万円(104%、0.85%)
 H24. 7 489万円(102%、0.7%)
 H25. 1 494万円(101%、0.6%)
 H29. 4 販売休止中

 保障期間が10年間しかないため、金利状況は保険料にそれほど大きな影響を与えません。


◆一時払年金保険の保険料・返戻率推移

保険会社:日本生命
商品名:年金名人EX(H24.7から年金保険)
加入者:50歳男性
年金支給:60歳支給開始
保障内容:60万円×10年の確定年金
一時払保険料推移:以下のとおり
 H20. 8 535万円(返戻率112%、予定利率1.3%)
 H21. 1 540万円(111%、1.2%)
 H21. 2 545万円(110%、1.1%)
 H22. 8 550万円(109%、1.0%)
 H22. 9 556万円(108%、0.9%)
 H22.11 566万円(106%、0.7%)
 H23. 4 545万円(110%、1.1%)
 H23. 7 550万円(109%、1.0%)
 H23.10 558万円(107%、0.85%)
 H24. 7 566万円(106%、0.7%)
 H25. 1 572万円(105%、0.6%)
 H29. 4 販売休止中

 保障期間が10年間と年金支払期間が10年あるため、養老保険よりも金利状況が保険料に影響を与えます。


◆それでは、いざ検討開始!!

 金利の行く末なんて誰にも分かりません。しかし、だからといって貯蓄型保険への加入どきが「入りたいと思った今その瞬間」なんてことは暴論です。

 加入検討者自らの良識に加えて、過去の保険料・返戻率の推移があれば、必ずや納得できる結論を下せると私は信じています。


出典:「一部貯蓄性商品の料率改定および販売停止について」(平成28年年10月14日)、「保険料率の改定について」(2013年1月28日 、アフラック)、「一時払年金保険・一時払養老保険の保険料率の改定について」(平成20年7月10日、日本生命)から「一時払終身保険の保険料率の改定について」(平成28年9月13日、日本生命)


 私は、過去記事の「こんな超低金利時代に貯蓄型保険に入るのですか?」において、こんな低金利下に貯蓄型保険に加入するなんて間違いである、金利が上向くまで加入は見送ったほうがよいと述べました。

 しかし、疑問もあります。金融情勢に応じて返戻率が変化する保険、つまり利率変動型や変額型などであれば、加入時期なんて大した問題ではないのではないか、といった疑問です。

 そしてこの疑問に答えてくれるデータは見当たりません。それもそのはずで、保険会社が過去の保険の保険料や返戻率の推移を明らかにしていない以上、そんなものはなかなか見つかるわけがありません。

 そこで今回は、利率変動型、利率固定型、変額型について、加入妙味があるのかないのか、出来る限り考察していきます。


◆はじめに結論

 結論としては「たとえ金利上昇に耐え得るとされる利率変動型や変額型であっても、この超低金利下で保険に加入するメリットは大変少ない」ということです。

 今加入するメリットよりも、今加入するデメリットのほうが大きいと考えられますので、今後金利が上昇すれば加入を検討し、上昇しないのであれば加入しないでよいと考えます。


◆最も安心な利率変動型を検討する。

 まずは、利率変動型を検討します。今後の金利情勢によっては保障額と解約返戻金額が増加するため、金利が上がれば旨みがあります。インフレリスクも一定程度は相殺できるため、安心です。

 それでは、値上げ前後の保険料を確認します。ここでは、2017年4月に値上げされた「三井住友海上あいおい生命」の「積立利率変動型終身保険(低解約返戻金型)」を載せます。

 ★2017年3月時点
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 ★2017年4月時点
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 4月保険は、3月保険と比べて70歳時点での死亡返戻率が20%ポイントも低く、解約返戻率も8%ポイントも低くなっています。

 4月保険は、最低保証利率の0.5%が今後も続くならば本当に魅力がない保険です。

 70歳の時点ですら死亡・解約返戻率も110%に届きません。40年間も掛け続けておいて1割も増えないなんてあんまりです。

 でも、今後40年間の平均利率が3月保険と同じ1.25%まで上昇すると仮定するならば、70歳の時点では3月保険と同等の死亡返戻率と3月保険より10%ポイント程度高い解約返戻率が期待できそうです。

 金利上昇を見込んだ場合、4月保険のほうが魅力的かもしれません。しかし、4月保険のほうが払い込む保険料が19%も高く負担が大きいことを忘れてはなりません。

 結局、4月保険の加入判断ポイントは、保障額に比べて割高な保険料を支払うというデメリットと、金利上昇によって3月保険を上回るかもしれないメリットとの比較です。

 私としては、メリットよりもデメリットが勝ると判断します。今後金利は上向くでしょうが、不確かなメリットに夢を抱くよりは、今後金利が上昇して旨味が出てきたならば加入、そうでなければ不加入、そのような付き合い方で十分だと思います。

 
◆返戻率が高い利率固定型を検討する。

 利率0.5%程度の利率変動型には金利上昇の追い風がない限り全く魅力がありませんでした。そこで、利率が変動しない代わりに返戻率が総じて高い利率固定型を検討してみましょう。

 それでは、値上げ前後の保険料を確認します。ここでは、2017年4月に値上げされた「オリックス生命」の「終身保険RISE[ライズ]<無配当終身保険(低解約払戻金型)>」を載せます。

 ★2017年3月時点
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 ★2017年4月時点
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 明らかに利率変動型よりも死亡・解約返戻率が高く、また保険料が安いことが分かります。

 値上げ後の利率固定型4月保険は、値上げ前の利率変動型3月保険と比べて60歳・70歳時点における死亡返戻率が同程度ですが、解約返戻率だと6%ポイント程度有利です。

 つまり、利率固定型4月保険は利率1.25%前後が見込まれていると考えられます。契約した場合、利率固定型なのでこの利率を一生背負うことになります。私は、これはリスクが大きいと考えます。

 日銀の異次元緩和によって大変低く抑えられているこの超低金利を一生背負うなんてリスクが高過ぎます。この考えは、値上げ前の利率固定型3月保険に対してでも変わりません。

 利率固定型3月保険の60歳以降の死亡返戻率は150%と高く見えますが、平均寿命の80歳まで生きると考えた場合、1.1%複利で運用されていることと変わりません。70歳までしか生きないとしても1.5%です。

 1%程度の利率を一生背負おうなんて判断を私は正当化できません。私のようなデフレしか知らない世代には1.1%の利回りですら魅力的に映るかも分かりませんが、私個人としてはリターンよりリスクのほうが大きいと思います。

 日本を含む主要先進国のインフレターゲットは2%です。中央銀行が「毎年2%ずつお金の価値を毀損していくぞ」と表明している以上、利率固定ならば最低2%複利は欲しいところです。

 従って、私はこの低金利時代の利率固定型への加入に私は反対です。

 ただし、お金に余裕があるならば、利率変動型も含めて比較的加入を前向きに捉えられる契約方法もあります。その方法は短期払です。

 60歳まで保険料を納めるのではなく、例えば10年短期払といった形での契約ならば、低解約返戻金期間の呪縛も10年で解けるため、返戻率と金利の状況によっては比較的容易に解約・乗換という選択肢を採用できるので、この柔軟さがあるならば加入余地も多少あると思います。


◆金融情勢に敏感な変額型を検討する。

 次に変額保険を検討します。この保険は、加入者自らが国内外の株式・債券を組み合わせて運用してハイリターンを狙う保険です。逆に言えば、保険会社が契約者に対して運用成功・失敗リスクを丸投げしたものです。

 解約返戻金は運用成果次第ですが、死亡保障には最低保証があります。最低保証があるにも関わらず、死亡保障額当たりの保険料が安価なため、解約しない限りは有利な保険とも言えます。

 また、株式や債券運用ができるため、インフレや金利変化に対して大変強みがあります。

 それでは、値上げ前後の保険料を確認します。ここでは、2013年と2017年の「ソニー生命」の「バリアブルライフ<変額保険(終身型)無配当>」を載せます。

 ★2013年6月時点
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 過去記事「8タイプから選ぶ『終身生命保険』(死亡保障だけの4タイプ)」より。

 ★2017年4月時点
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 4年間で保険料が30%以上も値上がりしています。それに伴い、死亡・解約返戻率も同程度低下しています。4年間で大幅に悪化したこの設計を一生背負う契約を結ぶことは、私には無理です。

 以前は、変額型といえば保険料が大変安価でした。過去記事「8タイプから選ぶ『終身生命保険』(死亡保障だけの4タイプ)」のとおり、円建て保険の中で最も安く加入できるものが変額型でした。しかし、今ではその優位性すら消え失せています。

 変額型4月保険の保険料は、利率固定型4月保険よりも少し高くなってしまっているのです(35歳契約の場合、利率固定型は26,950円)。

 結局、この保険に対する私の意見は、利率変動型と同様になります。即ち、不確かなメリットに夢を抱くよりも、今後金利が上昇してきて保険料が安価になり旨味が出てきたならば加入、そうならなければ不加入、そのような付き合い方が妥当だと思うのです。


◆それでも加入するなら2018年4月以降に。

 以上のように、今のような低金利下にあっては、利率変動型や変額型であっても魅力がないと私は思います。

 まして、2018年4月には保険料算定の基礎となる死亡率の引下げが控えています。

 低金利で旨味がない現状にあって、しかもあと1年経たずに保険料が安くなるという情報もあったら、とりあえず2017年度中に終身死亡保険に加入するのは有り得ない選択です。

 終身死亡保険に加入したい場合でも、少なくとも2018年4月までは待つべきだと私は思います。